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Posted by 一二三 - 2011.10.09,Sun

どうも~~、一二三です☆
いやぁ;牙狼2期の影響なのかカウンターが恐ろしいほど回っておりますww;
いいのかな?;なにも2期について書いてないですけれど、いいんですかね?

なんだか悪い気がしている一二三です、どすこい!!☆


ファミ劇の「魔戒指南」だけでも感想UPしたほうがいいですかね?(;´д`)
ご希望があればぜひ、やらせていただきますのでコメントにてリクエストお願いします。

さて、今回も長編の続きをUPしていくよー!
ほとんど自己満で書いてますけど、楽しめていますか?;(不安)

ちょっとでもハラハラドキドキしてもらえてたら嬉しいですv


では「つづき」クリックで、  『Gott ist tot, Gott bleibt tot. Ⅲ.』へどうぞ☆











  
眩しすぎる月明かりを追って闇へと剣を振りかざす。
 
ゆっくりと辺りを見わたせば。
ひるむものは何もなくて。
恐れるものもなくて。
温かさを求めているのにそこには誰もいなくて。
消えていく空を求める思いがあるだけ。
 
 
 
 
 
Gott ist tot, Gott bleibt tot.  Ⅲ.
 
 
 
 
 
能面のような笑顔を浮かべる男を、カオルは強い目で見つめた。
 
「占い師さん・・・!
 あなたにどうしても聞きたいことがあるんです。
 卓くんを知っていますよね?」
 
確信を持って尋ねると、占い師は目じりをそっと細めて答える。
 
「ええ、知っていますよ。」
 
「 !・・・何をしたんですか!?」
 
「何も。
 私はただ、あの子のお母様が欲しがっているものを差し上げただけです。」
 
カツカツと革靴の音を立てながら、占い師は部屋の中央に置かれた一脚の椅子に歩み寄った。
 
「・・・まぁそれも、あなたの恋人によって葬られてしまいましたが。」
 
「え・・・!?」
 
「意外ですか?
 あなたが教えたんですよ。
 可愛そうに、あの母親は大切な息子を2度失ってしまった。」
 
占い師の瞳の奥に、ギラリと光る悪意が見える。
私を責めるような目だ。
 
何が何だかわからない。
 
「どういうこと?
 鋼牙は人間を斬ったりしないわ!」
 
そうよ、鋼牙は人を傷つけたりしない。
ましてや子供をなんて・・・。
 
「おや、何も聞かされていないんですね。
 彼が今追っているホラーのこと。」
 
! 鋼牙だけじゃない、ホラーのことも知ってる・・!
 
「あなたは一体何者なの!?
 ホラーなの・・・?」
 
意を決して尋ねたのに、目の前の占い師は笑って答えた。
 
「違いますよ。
 私はホラーではありません。」
 
それは予想外の返答で私はすっかり肩透かしを食らってしまう。
そう望んでいたはずなのに、真実はあっけなく私の耳に届いた。
 
“ホラーじゃない”
 
なんだ・・・、そうなの?
じゃあ、このぐるぐると渦巻く不安はなに・・・。
 
占い師はまるで講義でもするかのように身振り手振りを交えて私に語り始めた。
 
「卓くんのお兄さんが、なぜ斬られたか知りたいですか?
 それはね、お兄さんはもう亡くなっていて、その死体にホラーが憑依していたからです。
 だから斬った。
 ですが、一つ疑問が残ります。
 通常ホラーは死体には憑依しない。
 まぁ、そういう嗜好を持ったものも稀にいますが。
 ではなぜ、そのホラーは死んだ子供の肉体に憑依したのか。
 そう仕向けた者がいるんですよ。
 そして、そんなことが出来るのは魔戒騎士か法師・・・闇の世界に精通した者しか考えられない。」
 
「なんで・・・?
 どうしてそんなことするの!?
 ホラーじゃないならどうして!?」
 
この人は魔戒騎士なんだ・・・。鋼牙と同じ・・・!
ならどうして・・。
 
キコキコ・・とどこからか車輪が動く音がする。
 
それはまるで壊れたおもちゃの音みたいに鐘塔に木霊した。
 
占い師の顔は生気のない仮面の笑顔。
まるでアンティークドールのような無感情さに胸が底冷えする。
 
この顔どこかで見た。
加速的に動いていく現状に置いていかれた思考が、走馬灯のようにめぐった。
 
鋼牙もこんな顔をするときがある。
 
それに気付いたとき私は愕然とした。
 
 
 
困惑した頭のまま、暗がりに目をこらして車輪の音に耳を澄ます。
 
現れたのは赤い車椅子。
乗っているのは占い師の娘の芽衣子ちゃん。
 
「たった一人の娘を助けるため、ですよ。」
 
 
「ごめんね、お姉ちゃん・・・。」
 
車椅子の少女は暗い表情で私を見つめた。
 
私は何も言えなかった。
何も言葉が出てこなかった。
 
運命は酷い。
ただひたすらに。
 
 
「ごめんなさい、御月カオルさん・・・・。
 本当は、こんなことしたくなかった。
 ですが冴島鋼牙をここにおびき寄せるためにはあなたがどうしても必要なんです。」
 
じゃあ、最初から・・・!!
亜佐美のライバル誌に占いを載せたのだってもしかして・・・。
 
「全部、私をエサに鋼牙をおびき出すため!?
 彼に何をする気なの!?」
 
 
鋼牙・・・怖い、すごく怖いよ。
泣いて叫び出しそう。
体がガクガク震える。
 
鋼牙、鋼牙、鋼牙・・・・!
 
 
お願い、助けになんか来ないで。
 
あなたが傷付くところはもう見たくない。
鋼牙を失いたくない・・。
 
それなのに、
“どうかこの人達を斬らないで”
そう願ってしまう私がいる。
 
最愛の人を失いたくない思いは、私もこの人達も同じ・・・。
 
同じなの・・・。
 
私は・・・この人達と同じ。
 
 
 
私と鋼牙を隔てているものが、今ははっきりと見えた。
 
 
―――・・・
 
 
 
「鋼牙様!カオル様がどちらにおられるかご存知なのですか!?」
 
足早に書斎に移動する主を、執事は慌てて追いかけた。
主はいささか乱暴に机の上に地図を広げると、指で指し示す。
 
「・・・大体の見当はついている。
ゴンザ、この周辺の地区にある鐘塔の建物で、占いをやっている店があるはずだ。
 すぐに割り出してくれ。」
 
「占いですか??」
 
主の言葉を一言一句聞き逃さぬように、彼の白い横顔を見つめた。
 
「ああ・・・、ついさっき卓の母親から聞いた。
 占い師に運命を変えられる札を貰った、と。
 それで死んだ長男が帰ってきたらしい。」
 
「遺体にホラーを憑依させる術ですな。
では・・・!
卓くんのお兄さんが・・・・。」
 
「斬ってきた。」
 
・・・!
鋼牙様・・・。
 
息を飲んで執事の動きが止まる。
 
昨夜カオル様が見せてくれた卓くんの絵が、脳裏に浮かんだ。
家族四人で幸せそうな絵が。
 
「ゴンザ。
今は手を動かしてくれ・・・たのむ。」
 
「は、はい・・!すぐに・・・!」
 
執事はすぐに電話帳を調べようと、書斎の扉に向かった。
 
「鋼牙様・・・心中お察しいたします・・。」
 
 
 
 
―――・・・
 
 
椅子に縛り付けられながら、私は占い師さんの言葉に耳を傾ける。
 
何とか説得したい。
こんなことやめさせないと・・・。
 
「御月さん、邪魔さえしなければあなたに傷一つつける気はありません。
 あなたはただ見ていればいい・・・。」
 
椅子の背に腕を回されて、ギっと縄で縛られた。
 
もうどうしようもないの?止められないの・・・?
 
「お願い・・・、こんなのって・・・。
 きっと芽衣子ちゃんを助ける方法は他にも・・・」
 
「娘の病気が筋ジストロフィーだと分かった瞬間、医者はサジを投げましたよ。
 対症療法で生き延びるほかない。治療法はない、とね。
 私は芽衣子を救うためにあらゆる方法を探した。
 魔戒騎士としての使命を放り出して外国の名医という名医を訪ねた。
 ですが誰一人として治せなかった。
 遺伝子に欠陥を持って生まれた子は死ぬしかない、と叩き付けたんです。
 私にはもう、魔界の知識以外に頼る術はありませんでした。」
 
「それで卓くんのお兄さんを・・・?
 芽衣子ちゃんを救うためなら、他の誰を傷つけたっていいの?」
 
同情はするけれど、そのことまでは許せない・・・。
一つの家族にとても大きな傷を作ったのよ。
 
「あなたならどうします?
 最愛の人を救う方法を目の前にして、それを試さずにいられますか?
 それが禁忌だと分かっていても、どんなことだってするでしょう?」
 
縛り終わった彼は、ゆっくりと私の前に立つ。
その顔は今までとは違い、苦渋と悲しみ・・・そして怒りに歪んでいた。
 
「芽衣子はこの半年で歩くことが出来なくなった。
 最近は車椅子にただ座っている、ということが出来ない・・!
 姿勢を保持する筋肉すら萎縮してきてしまった。
 もう時間がないんだ・・・!」
 
「・・・!」
 
うっすらと占い師の瞳に浮かんだ涙は、私にもうつる。
 
「でも・・・!
 芽衣子ちゃんにホラーを憑依させてもそれは芽衣子ちゃんじゃない!」
 
「そう。
 だから私は場所を変えながら何十人という子供で実験をしてきた。」
 
「!!・・・そん・・・なっ・・・」
 
「ホラーに憑依されても、その人間性を失わずに済めば・・・芽衣子は助かる!
 医学の進歩と発展は、無数の人体実験の賜物だ。
 私は間違っていない。」
 
もう止められない。
もう何も感じなくなってる。
卓くんのことなんて・・・他人のことなんて・・・。
 
 
「私は黄金騎士を迎える準備をしてきます。
 逃げ出そうなんて、思わないほうが身のためですよ。」
 
カツカツと靴音を響かせて、占い師は扉の奥に消えてしまった。
 
 
残された私に、キィと車椅子が近付く。
少女が悲しげに口を開いた。
 
「・・・お姉ちゃん、お父さんを責めないで。」
 
「芽衣子・・ちゃん・・・。
 でも、お父さんは悪いことをしてるんだよ!」
 
「うん・・・。
 ほんとはこんなことして欲しくない。」
 
もしあの人を止められる人がいるとしたら、芽衣子ちゃんしかいない。
 
「だったら!」
 
 
「でも、芽衣子だって生きたい。」
 
「・・・ぁ・・・!」
 
「死にたくない・・・!
 死にたく、ないよ・・・。」
 
くしゃりと顔を歪めて、芽衣子ちゃんは泣きだした。
あの人を止めるってことは・・・そういうことなんだ。
 
私は・・・。
私は・・・!
 
こうがっ・・・どうしたらいいの!?
 
 
 
―――・・・
 
 
日も落ち、夜の景色。
聳え立つ鐘塔を月が照らし出していた。
 
カオル・・・、ここにいるのか?
多分、お前は俺に来てほしくないだろうな。
 
「・・・ゴンザが割り出した場所はここだ。
 ザルバ、ホラーの気配は感じるか?」
 
《ホラーの気配が一つ。
 人間が二人。
 だが一つは普通の人間とは違う気配を感じる。
 おそらくそいつが・・・裏切り者だ。》
 
「・・・・。」
 
《お前に斬れるのか?》
 
「俺は人間は斬らない。
 カオルを連れ出したら、とっとと帰るぞ。」
 
ザルバの問いかけを半ば鬱陶しく思った。
 
《もしカオルが拒否したらどうするんだ?》
 
そんなこと・・・俺にだって分からない。
カオルが俺に失望するのならそれでも構わない。
 
俺が何をしてきたのか。
何をしようとしているのか。
 
知るには良い機会だ。
 
どんなに想い合っていようと、住む世界が違いすぎる。
所詮は無理だった、と諦めるしかないんだ。
 
それで、カオルが前へ進めるなら・・・。
あいつが・・・もう泣かなくて済むのなら。
 
 
《・・・鋼牙、大丈夫か?
 お前は、大丈夫なのか?》
 
「俺は魔戒騎士だ。
 ホラーを狩るのが使命だ。
 誰が阻もうと、カオルが阻もうと・・・俺は使命を果たす。」
 
ザルバはやれやれ、とため息をついて答えた。
 
《実直だな・・・。
 鋼牙、お前は魔戒騎士を辞めたいと思ったことないのか?
 カオルと魔戒騎士どっち取るか、って場合お前は魔戒騎士を取るって今そういうことを言ったんだぞ?
 本当にそれでいいのか?》
 
「何度も言わせるな・・・!」
 
ああ、うるさい。
こんな時はザルバを指から抜いて投げ捨てたくなる。
 
俺の左中指から鼻で嗤う声がした。
 
《ふん、なら・・・カオルがホラーに憑依されたなら斬れるのか?》
 
・・・・。
 
「・・・やめろ。
 もういい、もう分かった・・・。
 お前の言うとおりだ、ザルバ。
 だが、今更生き方を変えるには、俺はホラーを斬りすぎた・・・。」
 
《・・・。・・・そうだな。
 俺様も意味のないことを言った。
 早くカオルを助けよう。》
 
 
 
 
暗闇に浮かび上がる鐘塔を見上げて、鋼牙は足を踏み入れた。
 
闇の呼ぶ方へと。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
To be continued・・・
Ⅳ.へ→ 

 
人間はそう簡単に割り切れる生き物なんかじゃなく。
心に矛盾を抱えずに生きていくのは難しいですよねー・・。
 
次回は今回よりも長い大説明大会になりますww
そして鋼牙ひどい目に遭う。
 
お楽しみに☆
そろそろキリバンリクエストもUPしなくちゃね!(;´д`)ゴメンネ皆!

 

拍手[30回]

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Comments
お久しぶりでございます。
しくしく、PCが不調でなかなか見にこられなかったんだよぅ^^;

しかし・・・わたしの最初に感じた殺意は
正しかったのねw

龍鈴さんのセンサー感度がなかなかですねww
Posted by 龍鈴 - 2011.10.14,Fri 10:47:41 / Edit
Re:お久しぶりでございます。
お久しぶりです!龍鈴様☆

また来てくれて本当に嬉しいですv
PC一二三もそろそろ買い換えたい!ww
もう限界が近いです;

龍鈴様センサー☆すばらしいですね・・・!ww
ラストまでまた読んで頂ければ幸いですv
Posted by - 2011.10.15 at 22:46
GGG様、初めまして☆
初めまして、こんにちは!管理人の一二三です。
お返事が遅くなり大変失礼をいたしました;orz

牙狼MSが観れない地域の一二三のためにw
情報とってもありがとうございます。

とてもありがたく思います。

またぜひ、遊びに来て下さいね☆
Posted by 一二三(管理人)です - 2011.10.18,Tue 22:51:02 / Edit
なな様、次回もおたのしみにv
拍手今回もありがとうございます!
すっごい励みになってます☆

なな様の反応に一二三もわくわく、どきどきしてますww

次回はね、まあね・・・w
大説明大会ですが、よろしくお付き合いください(笑)
Posted by 一二三(管理人)です - 2011.10.18,Tue 22:51:41 / Edit
みゆ様、またメッセージいただけて嬉しいです!
ご感想&拍手とっても嬉しいです!!
ありがとうございます!

占い師さんが、心正しき魔戒騎士からどのように転落していったのか、どうぞ見守ってやってください!
きっと誰もが理解できる理由ではないかと思います。

>運動会みたいな明るい話もまた読みたいです

了解しました!w
ちょっと暗い展開が続いたのでリクエスト小説をUPすることにしましたのでそちらもお楽しみくださいませ!w
Posted by 一二三(管理人)です - 2011.10.18,Tue 22:52:19 / Edit
ちゃーみーママ様、いつも返信が遅くてすいません!;
拍手コメント、毎回とても嬉しいですv
本当にありがとう(×100)ございます・・・!(*´∀`*)

今回の長編小説は何かと驚き展開な感じで申し訳ないですwwえへv
ずいぶん前にUPした占いの回で出てきた、占い師がこんなことになるとは思いもよらなかったですよね。

一二三にしては、かなり前からの計画的犯行でしたw笑
それも、ようやく着地点に向かっていますので、最後まで見届けていただければ嬉しいです。


今回もありがとうございました!

Posted by 一二三(管理人)です - 2011.11.02,Wed 23:52:55 / Edit
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