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Posted by 一二三 - 2011.06.18,Sat

えぇぇーーー!?今日18日!?Σ(Д゚;エーッ!
 
・・・・完璧に今日が何日か失念していた一二三です・・・´д・`|||●)どーん
 

 
 
どうもです。
 
皆様、こんばんは☆健忘症一二三です;汗
 ありがとう友情、そして「父の日」に出オチ・・・orz
 
実は今回、お友達サイト「brindle wolf」管理人様のなな様と『父の日コラボ企画』といたしまして、同一テーマでそれぞれ作品を執筆させていただきました☆
 
それぞれ、どのような出来になったか、ぜひ皆様にご拝読いただきたいと思います。
 
そして、今回もお詫びすべき事が一点・・・。
 
お約束では18日に日付が変わったと同時にそれぞれUPする・・・という流れででしたが、一二三が今日と間違えたため、このような事態になりました・・・orz
 
大変!!失礼しましたっ!!
もぉ~~アホ過ぎて自分が無性に恥ずかしい・・・!!(´Д`|||)
 
本当に・・なな様、皆様、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした!
 
 
こちらで、父の日企画小説 『天壌無窮 上・下』 をお読み頂いた方は、ぜひ!
なな様執筆の玉章 『ゴンザと父の日』をご拝読いたしますことを強くお薦め申し上げます!!
 
直通リンクです→http://nana7890.blog40.fc2.com/
 
なな様と一二三それぞれのテイストがしっかり出ていて、読み比べてみるととっても面白いですよ!
同一テーマでもこんなに雰囲気が違うんですね!ww笑
 
気になる方は、ぜひ、「つづき」クリックで 一二三版☆ 父の日企画小説 『天壌無窮 上』へどうぞv
 
 
 
~なな様へ~
 
この度は、とても光栄なお誘いを頂き、誠にありがとうございました。
この場を借りまして、改めてお礼申し上げます。
また当日、このようなミスを犯しましたこと、重ね重ねお詫びいたします。
 
同一テーマで、また同ジャンルで別サイト様と作品を書く機会は、本当に少なく、大変貴重な経験が出来ました。
 
今回、それぞれ「父の日」をテーマに、一二三には一二三の。
なな様にはなな様、の持ち味が本当に良く出ていて、とってもすばらしいと思います。
また懸念していたネタかぶりもなくw無事企画を終えることが出来ますことを感謝いたします。
 
またこのような機会があれば!ぜひ!
 
これからもサイト運営、執筆活動、お体に無理の無いよう頑張って下さいv
応援しております!
 
一二三
 
 

 
「“父の日”?」
 
 
「そう、6月19日は父の日なの。
 お父さんに感謝する日よ。」
 
屋敷の裏手でこっそりと話す男女。
 
家の壁にもたれてじっと話を聞いている青年に、どこかウキウキしながら“父の日”を教える女性がつま先に体重を乗せて揺らめきながら微笑んだ。
 
 
「でね、私も鋼牙も、お父さんもういないじゃない?」
 
「ああ。」
 
 
「だから、毎年6月19日を“ゴンザさん感謝デー”にするのはどうかな?」
 
 
彼女の言葉を受け、青年は日頃家事や自分の世話に懸命に取り組んでいる執事の姿を脳裏に思い浮かべる。
 
「・・・・いいな。
 それで具体的に何をするんだ?」
 
 
「えっとね~~・・・」
 
ひそひそと秘密の計画を話し合い、互いに来るべきその日に備えることにした。
 
 

 
 
 
『天壌無窮』
 

 
 
 
朝はきっかり5時に起床。
 
冴島家の執事、倉橋ゴンザは鏡に向かってタイを留めながら、朝のまぶしい光に目を細めた。
 
 
さて・・・と、今日は6月19日。
5時13分っと・・・。
 
朝一番に私がする仕事は、自分の懐中時計のネジを巻くことだ。
 
随分と年季が入ったそれは、私同様老骨ではあるが、今もしっかりと時を刻んでいる。
 
 
今日も一日頑張りますぞ!
 
自身に気合を入れると、勇みよく執事室を後にする。
 
 
相棒の小さなハタキと、腰に下げた屋敷中の鍵をチャラチャラと鳴らしながら、朝食の仕度のため食堂を目指した。
 
 
途中、一階に鎮座している大きな柱時計の前で立ち止まる。
 
彼は私がこの屋敷に来るずっと昔から変わらずここに立っているらしい。
 
ゆったりと左右に振れる振り子は、私と鋼牙様のお気に入りだ。
 
 
朝、この柱時計の時刻を合わせるのも私の仕事。
 
 
いつものように時計の文字盤に目をやると、なぜか今日は遅れていない。
 
はて?
 
初めての出来事に小首をかしげながらも、「遅れていないのなら結構」と再び食堂を目指した。
 
 ダイニングの扉を開けると、どういう訳か仄かに淹れたてのコーヒーの香りが・・・・。
  
不可思議なことに焼きたてのパンの香ばしい匂いまで混じっているではないか。
 
 
 もしかして、鋼牙様が先に起きているのだろうか・・・・。
 
 
だとすれば由々しきこと!
 
 
執事は慌ててキッチンを覗く。
 
 
「鋼牙様!」
 
主より遅れてしまった自分に叱咤しながら声をかけると、そこにいたのは鋼牙様だけでなく、カオル様の姿もあった。
 
 
「ああ、ゴンザ・・・・おはよう。」
 
「おはよう!ゴンザさん!」
 
 
 
一瞥だけした主は、フライパンを握っていた。
 
卵をしみ込ませたパンをフライパンで手早く焼いている。
 
どうやらフレンチトーストを作っておられるようだ。
 
 
「カオル、皿。」
 
「はいはい!」
 
すぐ側に立ち、お皿を持ってスタンバイしていたカオル様が慌てて差し出す。
 
おいしそうな匂いがするホカホカのフレンチトーストがお皿に盛られた。
 
 
「あと卵6個とベーコン6枚、取ってくれ。」
 
「はーい!」
 
 
淡々と調理を続ける鋼牙とカオルにしばし目を奪われていたゴンザだったが、自分の立場を思い出し、慌てて声をかける。
 
 
「こっ鋼牙様!;
 私がやります・・・・!
 遅くなって申し訳ありませんでした!」
 
 
「別に遅くなってない。
 時間ならいつも通りだ。」
 
 
ぶっきら棒に返答した鋼牙の言葉に、ゴンザは少し困ったように眉を下げた。
 
「鋼牙ってば、もう・・・・。
  ゴンザさん、今朝は私達が作るわ!
  だからホラ!ゆっくり座って待ってて!」
 
 
カオルは明るく告げると、ゴンザの手を引いて半ば無理やりに食卓に座らせる。
 
「し、しかしカオル様・・・!;」
 
主が給仕をしているのに、執事の自分が座ってなどいられない。
 
 
「いいの、いいのv
 今日は私達にやらせて?
 ね、いいでしょう?」
 
 
「は、はぁ・・・;」

 
カオルはコーヒーを注ぐと執事に差し出す。
 
そのあと、自分の分と鋼牙の分を注ぐと、いそいそとキッチンに戻って行った。
 
 
それからすぐにカオルはサラダボウルを持って食卓に戻り、鋼牙も朝食の載った皿を両手に持って彼女の後に続く。
 
 
食卓の上には、みずみずしいサラダと、湯気の立つ良い香りのコーヒー、フレンチトーストと目玉焼き、ベーコンの乗ったプレートが三人分並んだ。
 
 
「・・・ゴンザの味には遠く及ばないが、まぁ食べてくれ。」
 
鋼牙は席に座りながら、執事に声を掛ける。
 
「いっただきま~~す!!」
 
両手を合わせたカオルに倣って、ゴンザもそっと両手を合わした。
 
 
・・・そういえば、こうして誰かと食卓をともにするのはどれくらいぶりだろう・・・。
 
 
ふんわりとしたフレンチトーストをフォークで一口大に切り、口に入れると甘い味が広がる。
 
「う~~~んvおいしい!!
 鋼牙っ、すっごくおいしくできてるよ!v」
 
 
ほっぺを押さえて幸せそうに言うカオルを、鋼牙の中指でザルバがからかった。
 
《お前さんは鋼牙が作ったものなら“何でもすっごく美味しい”んだろ?》
 
「うるさいなー!
 だって、ホントに美味しいんだもん!
 ね!ゴンザさんも美味しいでしょ?」
 
 
・・・・・・。
 
 
「あれ・・・?;
 ゴンザさん・・・もしかして泣いてる?;」
 
ただ黙々と食べていた執事が、カオルの指摘によってゆっくりと顔を上げる。
 
 
「うっ・・・・!
 わ、わたくし・・・!!
 こんなに美味しいフレンチトースト・・・食べたことありません・・!!」
 
 
滔々と流れる涙をそのままに、ゴンザは幸せの味をかみ締めた。
 
あまりに大げさなその反応に、作った本人である鋼牙も少し引き気味になる。
 
 
「・・・泣くほどか!?;」
 
「ゴンザさん・・・感動しちゃったのね・・・。
 眼鏡、くもってるよ。」
 
 
ゴンザは曇った眼鏡を外してきゅっとハンカチで拭き、再び掛けなおしながら鋼牙とカオルを交互に見つめた。
 
 
「と、ところで今朝は一体どういう・・・・?」
 
 
「今日は父の日でしょ!
 だから鋼牙と話して、今日をゴンザさん感謝デーにしたのv」
 
 
カオルの返答に執事は再び眼鏡を真っ白にした。
 
 
 
―――・・・・
 
 
 
「御二人とも・・・・!!
 私のために~~~~~!!」
 
 
溢れて止まらない涙でハンカチをびしょびしょにしながら、執事は感無量といった感じだ。
 
そんな彼の様子にいささか呆れながらも、鋼牙は話しかける。
 
「ゴンザ、さっき話したとおり今日は家事を俺とカオルでやる。
 掃除も料理もお休みだ。
 今日一日、自由にしていいぞ。」
 
 
「鋼牙様ぁぁ~~~!」
 
ゴンザが鋼牙の足に泣きついたのを見てザルバがからかった。
 
《よせ、ゴンザ。
 年寄りの号泣は見苦しいぞ。》
 
「ザルバ!!;
 ゴンザさん!何か頼みごとがあったら私達に何でも言ってね!」
 
 
涙に濡れた眼鏡を拭きながら、執事は「では・・・お言葉に甘えて・・・」と今日一日だけは頼みごとをすることにした。
 
「あの~、実は倉庫に置いてあるダンボールを一つ取っていただきたいのです。
 脚立を使ってもどうにも手が届かず・・・・鋼牙様でしたらお取りになれると思うのですが。」
 
 
「なんだ、そんなことか。」
 
いつでも言えばいいのに・・・と呟きながら、鋼牙は屋敷の外にある倉庫へと向かう。
 
ぶっきら棒な彼の後ろでカオルとゴンザが目を合わせて笑い、後に続いた。
 
 
 ―――・・・
 
 
「あ、鋼牙様・・・もっと右です。」
 
「右?こっちか?」
 
「ええ、その奥の箱です。」
 
 
脚立に上った鋼牙に、ゴンザが下から荷物の位置を指示する。
 
 
「これで?あと他は?」
 
「いいえ、取っていただきたかったのはこれだけですので、もう大丈夫ですよ。」
 
 
危ない様子も見せず、ダンボールを抱えた鋼牙が難なく脚立を下りてきた。
 
 
「ねぇ、ゴンザさん。
 一体何が入ってるの?」
 
カオルは興味を魅かれて床に置かれたダンボールを覗き込む。
 
「とっても良いものです!
 カオル様にもお見せしたくて・・・・。」
 
 
ホコリの積もったダンボールにふーっと息を吹きかけると、執事は丁寧に開いた。
 
そこには厚手の大きな本のようなものが4冊ほど入っている。
 
「鋼牙様が小さい頃のアルバムです。」
 
「うわぁ~!!見たい見たい!」
 
「・・・こんなのあったのか・・・。」
 
 
 
少し茶色くなったアルバムの表紙を捲り、三人で覗き込む。
 
 
「きゃぁ~~!!vかわいいーーー!!
 うそ!これ鋼牙!?
 ちっちゃ~~~い!」
 
赤子が母親に抱かれている写真を見たカオルが黄色い声を上げるのを、鋼牙は呆れた目で見つめた。
 
「赤ん坊は誰でも小さいだろう・・・。」
 
 
「え~~~!?
 こんな可愛い子がこうなっちゃうんだ!」
 
 
カオルは鋼牙の上から下まで眺めて、写真と見比べる。
 
 
「・・・・。
・・・・何が言いたい?」
 
 
 
「いやぁ~!懐かしいですな!
 これはまだ生まれたばかりの頃ですよ。
 本当に愛らしくて・・・・。」
 
 
「・・・これ親父か?
 若いな・・・・。」
 
写真の中にいる父親、大河は髭もなく、髪は黒々としていた。
 
 
「お母さん美人だね!
こうやってみると鋼牙ってお母さん似ね~~。」
 
「あ!これは2歳の時、クリスマスの写真ですよ!」
 
「うふv鋼牙プレゼントに埋もれちゃってる・・・!」
 
「・・・全然憶えてないな・・・。」
 
 
「えーと・・・こっちのアルバムは・・・・。
 あ!大河様とりん様の結婚式の写真ですよ!」
 
「・・・・へぇ・・・。」
 
「うわぁ!ステキ!
 あれ?この人は?」
 
結婚式の集合写真を見つけたカオルが端にいる人物を指して尋ねる。
 
「鋼牙様のおじい様です。
 残念ながら鋼牙様がお生まれになる前にお亡くなりになりましたが、立派で・・・面白いことが大好きな方でしたよ。」
 
 
「先々代か・・・。」
 
 
「あと2冊は全部ほとんど鋼牙の写真ね。
 こんなにたくさん・・・・・。
 よっぽど愛されてたのね。」
 
 
「・・・・・。」
 
 
「写真はいいですね。
 思い出が蘇ってきますし・・・。
 もう二度と逢えない方たちにもこうして逢えます。
 色んな事がありましたが、今になってみればどれも良い思い出ですな。」
 
執事は懐かしさに目を細めながら過去に思いを馳せた。
 
その様子を見ていた鋼牙はあることを思いついてゴンザに尋ねる。
 
「これを撮ってたカメラ・・・・まだ残ってるのか?」
 
 
「ええ!もちろん。
 しかしレンズが駄目になってしまって・・・・。
 パーツを探しに行くにもなかなか機会が無く・・・。」
 
「・・・・じゃあ、今から行こう。」
 
鋼牙から飛び出た意外な言葉に、執事は驚いて声を上げた。
 
「えっ!?鋼牙様、一緒に行ってくださるのですか?」
 
 
「ああ。
 今日はゴンザに感謝する日だからな。」
 
 
「わー!良かったね、ゴンザさん!
 片付けなら私がやっとくし、お留守番してるから二人で行ってきて!」
 
 
カオルは快く二人を送り出す。
 
 
こうやって誰かに「いってらっしゃい」と言われるのはいいものだ、とゴンザは頬を綻ばせた。
 
今思えば、自分の半生は“待つ”ことだった。
 
大河様、鋼牙様を待つこと。
 
不安を覚えたことはあったが嫌ではなかった。
 
だが、こうして誰かに見送られることがこんなに嬉しいこととは。
 
 
たとえいくら無力であろうとも、普段私がやっていることは意味のあることなのだ、とゴンザにはそう思えた。
 
 
随分と背も高くなり、男の顔つきになった主を横目で見ながらゴンザは暖かい気持ちに微笑む。
 
 
・・・本当に、カオル様と出会えてよかった。
 
  
 



 ※このつづきは『天壌無窮 下』に続きます。

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