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Posted by 一二三 - 2011.02.21,Mon
遅ればせながら、おめでとうございました!!☆


はぁ・・・やっぱ間に合わんかったです、すみません・・・・orz落


今回は、小西さん誕生日→鋼牙へとシフトしまして、鋼牙が主人公のお話を書いてみました。

久々に堅い話になってます;汗

鋼牙の性格描写が極端な気もしますので、今回の話は賛否が別れそうですねww

あちゃー、やっちまった・・・。


この小説の続きを後日書く予定ですので(鋼カオvで)、そこで完全に鋼牙は救われるんじゃないかと思いますww

正直言って、久々にきつかったです。

一二三の切羽つまり感が、読んでると分かってしまいそうです;


皆様に一二三の想いが、鋼牙の気持ちが、伝わってくれることを切に祈っております。


一二三自身、書いてて何ですがw


「誕生日、おめでとう」


たったこの一言が、こんなに大きくて深い気持ちだと思っていませんでした。


自分はもう誕生日祝う歳じゃないから、とか思ってらっしゃる方もおられると思いますが、


一二三はぜひ声を大にして


「誕生日!おめでとう!!」


と言いたいです。



このサイトが生まれてから今日までの、ありったけの″ありがとう”を。




!注意!

・お誕生日おめでとう・・・か?
・重いけど救いはある・・・・・つもり
・冴島親子の話
・オリジナルホラー登場

以上許容できる寛容なかた、「つづき」クリックで 小説 『誕生日、おめでとう』へぜひどうぞ☆






その日は朝から嫌な予感がしていた。
 
そわそわと何かしら準備に追われている執事とカオルを後目に、鋼牙は重々しくため息をつく。
 
 
 
「もぉ!なんで自分の誕生日にそんな暗いのよ!」
 
怒ったように食いついてくるカオルを横目で捉えながら、再びため息つけば、今度こそ軽く肩を叩かれた。
 
 
 
 
 
 
『誕生日、おめでとう』
~2011年
 
 
 
今日は俺の誕生日だから、と執事は普段よりいっそうに料理にいそしんでいた。
 
一方のカオルも朝から慌しく、落ち着かない様子をしている。
 
 
当の本人といえば・・・別段、今日が自分の誕生日だからといって浮ついた感覚もなければ、めでたくも感じない。
 
 
いつもと変わらない。
 
 
午前中は陰我を放つオブジェを清めて回り、午後は時間が空けば身を鍛え、番犬所へと顔を出す。
 
そして、いつもと変わらぬように、書斎の机上には赤い指令書があった。
 
 
 
鋼牙は書状を手に取り、自嘲気味に眉をひそめる。
 
 
《・・・なんだ、取りこぼしがあったか。》
 
 
左の中指で呟くザルバに目を向けながら、鋼牙は1週間ぶりのホラー出現にいささか気が逸った。
 
 
魔導火でボッと赤い封筒を燃やせば、緑の文字が宙を躍る。
 
 
どんな指令だろうと悪い知らせには違いない。
 
文面を読み取れば、ますます眉間の皺が深くなった。
 
 
《こいつは・・・なかなか厄介な奴が出たもんだ。》
 
 
 
―「どうしたの?
  さっきから呼んでるのに!」
 
 
何も知らないカオルが書斎の扉を開けながら頬を膨らませる。
 
彼女の後ろにはゴンザが佇んでいるが、二人とも宙に浮かぶ文字を見とめると、表情を暗くした。
 
「指令があったのですか・・・。」
 
「・・・今日は誕生日なのに。」
 
 
残念そうな二人に、鋼牙は自分が悪いような気がして思わず「すまん・・・」と言葉が出る。
 
それを聞いたカオルは途端、顔をほぐして首をふった。
 
「鋼牙が謝ることじゃないよ!
 仕方ないよね・・・・。
 誕生日くらいは休んでほしかったけど・・・。」
 
励ますように、にっこりと微笑むカオルの表情で鋼牙の心は軽くなる。
 
「日付が変わるまでには必ず戻る。
 信じて待ってろ。」
 
 
「うん!!
 寝ないで待ってるから・・・きっとだよ!」
 
 
 
 
カオルとゴンザに暖かく見送られながら、鋼牙はホラー退治へと出かけた。
 
 
――・・・
 
 
気配を感じる場所へと向かいながら、ザルバがため息混じりに呟く。
 
《“日付が変わるまでに戻る”・・・とは言ったものの、今回の相手はそんな簡単にいく奴じゃないぞ、鋼牙。》
 
相棒の言葉を受けて、鋼牙は指令書の文面を思い起こす。
 
 
“人間の遺恨が生みしホラー
 
 幻術を操り、人々を墜とし喰らう陰我 ただちに断ち切るべし“
 
 
幻術を操る・・・か。
 
トラップを多用するホラーなのだろう、と見当をつける。
 
一瞬、不安を感じそうになる自身の心に釘を刺すため、鋼牙は相棒を鼓舞するように言い切った。
 
「・・・どんな相手であれ、斬るだけだ。」
 
 
 
 
ゲートとなったオブジェがある場所にたどり着き、鋼牙はザルバに尋ねる。
 
 
「ザルバ、気配を感じるか?」
 
 
《ああ・・・とても強い邪気を感じる。》
 
 
冷たく突き刺さるかのような空気に意識を集中させる。
 
体中の神経を鋭敏にはたらかせ、宵闇にするどく目を凝らせた。
 
 
 
――「私のせいじゃないぃィィ・・・!」
 
 
「 ! 」
 
暗闇の中で女性がか細く嗚咽を漏らす声を捉えた。
 
声がした方向に、鋼牙は烈火のごとく駆け出す。
 
 
 
市街地の明かりも届かない道路で、うずくまって地面に座り込んでいる人影が震えている。
 
まるで凍えた身体を温めるかのように両手を交差し、上腕をすばやく擦っている姿は異様に映った。
 
 
女性との距離があと5mほどのところで鋼牙はゆっくりと歩速を緩める。
 
女性はおよそ30代前半で細身。
長いスカートから骨のような素足がのぞいている。
 
靴をはいていない・・・?
 
 
「おい・・・。」
 
 
声をかけるが女性は聞こえていないのか、ずっとブツブツと何か独り言をしゃべっている。
 
 
俯いて座り込み、か細く掠れる声は何と言っているのか判然としない。
 
 
「わ、・・・しの・・せいじゃない、わた・の・・いじゃ・・・!!
 なんで・・・だけ生き残ったの・・・!?」
 
 
「しっかりしろ!」
 
女性の肩に触れると、途端にびくりとのけぞった。
 
「ひぃぃぃ!!はぁ、はぁひぃ」
 
路上に四つんばいになって必死に逃げようとする女性に、鋼牙も驚く。
 
何をそんなに怯えているのか。
 
ホラーに襲われたのか?
 
 
唇を戦慄かせながら、女性はこの世の終わりを見たかのような目を鋼牙に向ける。
 
「ひッ・・私だって生き残りたくて生き残ったんじゃないぃ!!
 ぁあ、あの時・・!!みんなと一緒に死んでいたら・・!!
 好きで生き残ったんじゃないっ・・・・!
だからあの時死んでいれば・・!!
・・・ひッ・・!」
 
 
息つく間もなく喋り続けた女性が急に息を飲んで、鋼牙を見つめた。
 
だが、よくよく見ると女性の視線は鋼牙ではなく彼の背後に向けられている。
 
 
鋼牙は素早く後ろを振り向いた。
 
 
《鋼牙っ!ホラーの気配だ・・・!!》
 
暗がりからおぞましいほどの気配を感じる。
 
『ヤツ』と対峙しただけでどっと冷や汗が流れた。
 
 
女性は地べたを這いつくばってその場から逃げ出す。
 
 
鋼牙は抜刀して構えを取った。
 
自分の呼吸が耳元で聞こえる。
 
・・・焦っている。
 
何を・・・?
 
 
 
幾度となく激戦を乗り越えてきた鋼牙には直感でわかった。
 
こいつはやばい・・・!
 
 
相手が強敵であることを悟る。
 
こうやって対峙しているだけで、瞬間に足が動かなくなりそうだった。
 
 
こんな感覚はホラーとの戦いの中であまり感じたことはない。
 
勝てないとか、諦めの境地・・・絶望とは違う恐怖・・・。
 
まるで見たくないものを見せ付けられているかのような・・・おぞましいもの。
 
 
それはホラーからではなく、自分から生まれてきていることもなんとなく鋼牙は分かっていた。
 
 
影はゆっくりとした足取りで鋼牙に迫る。
 
「魔戒騎士・・・わたしの食事の邪魔をした罰を与えよう。」
 
 
《鋼牙!奴の声に耳を貸すな!》
 
左中指から発せられた声に、鋼牙は失いかけた闘争心を蘇らせる。
 
 
「っ・・・分かっている!」
 
 
「“鋼牙”・・・・そうか、冴島鋼牙・・・・。
 君が噂の黄金騎士か。」
 
ホラーは奇妙なほど流暢に喋る。
 
それだけで、知能の高さと永年の間各地を跋扈していたことが窺えた。
 
 
「ザルバ!!」
 
問答は無用、と鎧を召喚しかけたその時、ホラーはパチンと指を鳴らす。
 
「黄金騎士の抱く、恐怖とはどんなものか・・・・興味が湧くな。」
 
 
「・・・何も恐れちゃいない・・・!」
 
 
「そうかな?」
 
 
《鋼牙!!》
 
 
ホラーの声とともに意識が遠ざかっていく。
 
目の前の景色がグチャグチャにかき回された。
 
 
 
―――「はっ・・!!」
 
 
次に意識を取り戻したとき、立っていた場所は先ほどとは全く違う場所だった。
 
地面はアスファルトではなく、ガサリとした枯れ葉・・・・。
 
 
見覚えのある森の中、いつか聞いた剣戟の音が木霊する。
 
 
鋼牙の心拍数が跳ね上がった。
 
 
ここは・・・!!この景色は!
 
 
キィン・・・!と鎧の砕ける音がしたほうに目を向けると、そこにいたのは黄金の鎧を身に纏った父、大河の姿だった・・・!
 
 
父が戦っている相手はバラゴ・・!!
 
“あの日”の光景だとすぐに分かった。
 
 
「父さん!!」
 
けれども自分の声は父には届かない。
 
 
牙狼剣を掴もうとする幼い少年の姿・・・・。
 
 
 
やめろ・・・!!もう見たくない・・・!
 
 
手を伸ばせば届く距離なのに、足が石になったように動かなかった。
 
 
けっきょく俺は・・・!また“あの日”と同じ・・・・!!
 
 
絶望と諦めで顔が歪んだ。
 
 
父の体がバラゴによって貫かれる。
 
鮮血が飛び散り、辺りを深紅に染めた。
 
 
徐々に冷たくなっていく父の体の感触を忘れたことは一度もない・・・!
 
 
・・・悪夢から目覚めるのはいつも、ここだった。
 
無力な手で父の身体を揺さぶった記憶・・・・。
 
 
 
でもこれは夢の中じゃない・・・あのホラーが見せている幻影だ。
 
覚めることのない現実。
 
カオルと出会ってからは久しく見ていない悪夢ような現実・・・・。
 
 
―――
 
 
「ああぁぁああ!!」
 
《鋼牙!こうが!!》
 
 
敵の前に、成す術もなく絶望に駆られる鋼牙をザルバは必死に呼び戻そうとしていた。
 
こんなことは初めてだ・・・!
 
いつもその類まれなる技と知恵、才能で雄雄しくホラーを薙ぎ払う鋼牙。
 
それゆえ、今このときのような姿をザルバは見たことがなかった。
 
 
顔面を両手で覆って叫び声を上げることなど信じられない・・・!
 
 
よほど辛い過去を持っているのだろうか。
 
彼は黄金騎士だ。
 
どれほど絶望的な過去を持っていたとしても不思議ではない・・・。
 
 
このホラーは人々の恐怖心、絶望感を増大させ、生きる気力を奪う。
 
その人物の最も巨大なトラウマを利用して・・。
 
 
そして疲弊しきったところを喰らうのだ。
 
まるで獲物に毒を刺し、弱ってきてから喰らう蛇のように。
 
 
 
 
 
だが、ザルバにも勝機はあった。
 
カオルの存在だ・・・!
 
たとえどんな絶望が襲い掛かろうと、彼女を思えば鋼牙は何度でも立ち上がる。
 
それが人間達の言う“愛”なのだろうと、ザルバは理解していた。
 
 
《 鋼牙!こんな奴に飲み込まれるな!!
  カオルの存在がお前を救うはずだ・・・!!》
 
 
「俺を“救う”・・・?
 死から?そうなのか?
 死ぬのなんか怖くない、死にたい時だってある!」
 
 
鋼牙の言葉にザルバは声を失った。
 
奴の精神汚染はここまで人を変えるものなのか?
 
・・・・いや、これはもともと鋼牙の中にあったものだ。
 
だからこそ、自己催眠のように凝り固まり否定できなくなる。
 
あのホラーは所詮それを増大させているだけなのだ。
 
 
内罰的で、責任感の強いものほど顕著に支配されていく。
 
逆にザルバは鋼牙のその責任感に訴えることにした。
 
《好きでも嫌いでもいいから良く聞け、鋼牙。
・・・・奴を倒せ。
曲がりなりにも黄金騎士のお前には“守りしもの”として人々を守る義務がある。
 魔戒騎士としての責任と義務を果たせ・・・!
 死ぬのはそれからでもいいだろう!!?》
 
 
「ぐっ・・・!!」
 
鋼牙の瞳が強く光った。
 
 
 
剣の切っ先を天空に向け、鋼牙は頭上に円を描く。
 
まばゆい光とともに黄金の鎧が現れた。
 
 
ホラーは鋼牙を憎憎しげに睨みつけ、本来の姿へと身体を変態させていく。
 
「私の術を破るとは・・・・。
 だが生きているうちは返すか・・!!」
 
 
じゃあ死んでもらう。
 
 
 
低く威嚇する鋼牙の声は冴えていた。
 
幻影を利用して自在にトラップを仕掛けるホラーを鋼牙は徐々に追い詰めていく。
 
激しくぶつかり合う剣戟の音をどこか遠く聞きながら、ザルバは鋼牙の心の内に触れた。
 
 
それは・・・・ただひっそりと、悲しみに満ちた音を奏でている。
 
ホラーを薙ぎ払いながら、鋼牙の心は泣いていた。
 
 
こんな辛い戦い方もあるのか・・・、とザルバは一人瞼を閉じる。
 
最悪の誕生日・・・・おめでとう・・・。
 
 
 
牙狼剣によって突き刺されたホラーの身体は一瞬にして弾けとんだ。
 
 
 
はぁ、はぁ・・・と肩で息をしながら、鋼牙は鎧を解く。
 
暗闇の中、雨が降り出し、白いコートをしとどに濡らす。
 
 
雨・・・・。
 
泣いているのは自分の心か・・・・、と思い至り鋼牙は憔悴しきった表情で呆然と立ち尽くしていた。
 
 
 
ホラーが創った幻術の世界が徐々に薄れていく・・・・。
 
消えかけた霧の中で、去っていく父の背中を見つけた。
 
 
「父さん!!」
 
 
待ってくれ・・・!!
 
鋼牙は無我夢中で父の白い背中を追いかける。
 
ホラーを倒した今、鋼牙は魔戒騎士ではなく、ただ“冴島大河の息子”だった。
 
 
「俺・・・!まだ父さんに・・・!うっ・・・」
 
 
前のめりに走って、地面に足を取られそうになりながら必死に追いかける。
 
呼吸が乱れて嗚咽へと変わっていく。
 
 
 
「俺・・・本当は“あの時”・・・!!」
 


一緒に死にたかった。


 
躓いた拍子に目を閉じて涙がこぼれた。
 
 
バッと顔を上げると、そこには立ち止まって鋼牙を見つめる父の姿があった。
 
 
 
″・・・・分かっている、鋼牙・・・。
 
 お前の気持ちは分かっているよ・・・。″
 
 
 
耳に届いた声は変わらぬ優しい父の声。
 
まさか応えてもらえるとは思っておらず、鋼牙は一言一句聞き逃さぬようにじっと固唾を呑んで耳を澄ませた。
 
 
 
″・・・もう・・・自分を責めるのはやめるんだ・・・。″
 
 
「で・・も・・!
 あの時、俺が・・・俺がいなければ・・!
 俺のせいで・・・!!ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
 
 
見も世もなく、泣き崩れ懺悔する息子を大河はどこか悲しい瞳で見つめる。
 
 
「今度は俺も・・・、・・・!」
 
 
″鋼牙!″
 
 
鋼牙の声を大河は遮った。
 
それ以上言わせないために。
 
 
・・・・父は息子を強く抱きしめた。
 
 
″生きてくれ、鋼牙・・・・。
 お前が死んでしまったら・・・
 お前の中で生きている私も消えてしまう。
 
 生きる希望を捨てないでくれ・・・!″
 
 
「・・・・!」
 
そう言って父は、“あの日”してくれたように鋼牙の頬を拭うと、再び背を向けていく。
 
 
 
″誕生日、おめでとう″
 
 
 
 
消えていく幻影が、父の背中に溶けていった・・・・。
 
 
 
 
 
・・・・
 
 
とっくに12時を過ぎた夜道を鋼牙はどこか吹っ切れた表情で歩いていた。
 
頬を撫でる冷たい風が心地よい。
 
 
自分の手の平を見つめて、父の暖かさを思い出す。
 
 
・・・・俺は生かされている・・・。
 
 
《鋼牙・・・》
 
 
不意に話しかけられ、鋼牙はザルバを目の高さまで持ち上げた。
 
 
《もう二度と死んでもいい、なんて言うなよ?》
 
 
試すように片目を細める相棒に笑みを零す。
 
 
「ああ・・・言わない。
 
・・・・。
 
ありがとう、ザルバ・・・」
 
 
礼を告げると、途端に苦虫を潰したような表情を浮かべた。
 
《“ありがとう”だって・・!?
 どういう風の吹き回しだ??
明日は槍が降るな・・・・!》
 
 
「いいことがあってな。
・・・・気分が良いんだ。」
 
 

・・・あの父は自分が作り出した幻かもしれない。

ただ、赦されたいという願望の現われだと。


でも・・・・抱き締めた父の身体は暖かった。


それだけで、十分だった。



 
―――
 
 
冴島邸に帰ると、まだ明かりが灯っていた。
 
日付が変わるまでには戻ると言ったのに、約束を破ってしまい・・・鋼牙はカオルの機嫌を心配する。
 
 
ため息ひとつついて、玄関を開けるとカオルが待っていた。
 
 
まだ待っていたのか・・・・。
 
 
「・・・ただいま。」
 
「おかえり・・・・、遅刻だよ・・・!」
 
出迎えたカオルはそう言うと、急に瞳に涙を浮かべる。
 
「すまない・・・・」
 
 
何も言葉に出来なくて、カオルはただ首を横に振った。
 
 
「なぜ泣く・・・?」
 
慈しむように涙を拭って尋ねると、ようやくカオルは嗚咽とともに語り始める。
 
「・・・だっ、・・て、鋼牙が無事に帰ってきたから・・・安心しちゃって・・!」
 
 
鋼牙はぎゅっとカオルを抱き締めた。
 
 
・・・・ごめん・・・、もう二度と死んでもいい、なんて言わないから・・・。
 
 
心の中でそっと誓った想いは、決してカオルには告げない。
 
抱き締めたまま、縋りつくように頭を下げた。
 
 
「・・・鋼牙?・・・泣いてるの・・・?」
 
 
頭上からカオルの窺うような声が届く。
 

 
生きている・・・・。
 
明日があるということ。
 
 
たったそれだけのことが、こんなにも大切だということを。
 
俺は君と出会って知ったんだ・・・・。
 
 
 
「ありがとう・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
小西遼生様、29歳誕生日おめでとうございました。
 
 
 
間に合わなかったな・・・・orz
 
キリ番ゲッター☆咲大様、リクエストにお応えできなくて申し訳ない・・・!!泣
鋼牙が幸せいっぱいなwお話はまた後日裏にてUPしますので!;どうぞご容赦を!(ジャンピング土下座☆)
 

拍手[46回]

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Comments
お邪魔しておりますm(_ _)m
またまたお邪魔しております、早野紫希です。

サイト更新ばかりにうつつを抜かしていたら、一二三様のコメントを発見するのに時間がかかってしまったことをお詫びしたいと思います(- -;)

リンクでしたら貼っちゃってくださいませ←

私も年前に牙狼の存在を知ったヒヨッ子ですので余りそういったツテがないのです…;

たまに一二三様のサイトを覗かせていただいていますが、やはり先輩です!!
本当に鋼牙やカオルがそこにいるような気がします。

未成年ということもあり、裏サイトへ飛ぶことは残念ながら出来ない環境下ですが、きっと素敵な内容なのだなと思います。

また遊びに伺いますm(_ _)m
Posted by 早野 紫希 - URL 2011.02.25,Fri 21:49:48 / Edit
Re:お邪魔しておりますm(_ _)m
早野様~~☆
ご無沙汰しておりますーー!

一二三も早野様のサイトに遊びにいきましたよ~~v
時間がなくてチラッとですけどww

今日明日あたりにじっくり遊びにいきたいと思いますのでw
愛が重い(笑)コメントを発見しましたら、多分それが一二三です・・・;!!

今度ともどうぞvよろしくお付き合いくださいね!

一二三もサイト作って半年くらいですので、まだまだ若輩者です;汗
互いに切磋琢磨していきましょうね!♪

ではではvさっそくリンク貼っちゃいますのでv

また宜しくお願いしますm(_ _ )m
Posted by - 2011.02.26 at 14:48
風の道様、いつもありがとうございます。
こちらこそ、拍手&コメントありがとうございます!!
いつも大変助かってますよ!

そうですね、一二三も書いてて辛かったです。
大河を失った時のことは鋼牙の中でずっと未完了のまま積み重なっていたんですよね・・・。

それでも、精一杯生きていかなきゃですよね。
それが生きている者の勤めです。

命は次に受け継がれていくのですから。

ありがとう、風の道様。
Posted by 一二三(管理人)です - 2011.02.27,Sun 23:21:07 / Edit
しゃーりぃ様、さすがの洞察力です。
拍手コメント感謝です!!

一二三が伝えたかったこと、全てしゃーりぃ様に言い当てられてしまいました;
さすが、鋼カオvレーダーが基本装備の方は違うww


そうなんですよ!このトラウマに関しては、カオルには踏み込めない領域なんですよね。

だから鋼牙が自分で乗り越えていくしかない・・・。

でもきっと大丈夫ですよね。
乗り越えた先で、カオルが待ってくれているのですから。

パンドラの箱の最後には「希望」があったように。

Posted by 一二三(管理人)です - 2011.02.27,Sun 23:26:19 / Edit
ちゃーみーママ様、拍手ありがとうです!
むしろ一二三がちゃーみーママ様に拍手を贈りたい・・・!!

頂いたコメントのおかげで一二三も前向きになれました!
ありがとうございます♪
Posted by 一二三(管理人)です - 2011.02.27,Sun 23:29:20 / Edit
くしゃみをしてBackSpaceキーを押しちゃった方v
ゴメンナサイ、お名前が表示されなかったのでw
匿名でお礼させていただきます!

本当にありがとうございました
Posted by 一二三(管理人)です - 2011.02.27,Sun 23:34:03 / Edit
咲大様、毎度どうも~☆
拍手コメントごっちゃんです☆

鋼牙は本当にカオルに助けられていますね!

やっぱり二人は「一緒にいることで互いの孤独な部分を埋めることが出来る」んですよね!

肘井さん名言だと思います☆

今後とも一二三なりに二人の色んなエピソードを書いていきたいです!

これからもお楽しみにv
Posted by 一二三(管理人)です - 2011.02.27,Sun 23:39:20 / Edit
こげうー様、またまたThanksです!
拍手いただきました♪

是非、次回は鋼牙を幸せいっぱいにしてあげたいと思いますww

明智訳のコニタンはマジカッコイイです!!


一二三の方も、これからも応援頼みます!!orz
Posted by 一二三(管理人)です - 2011.02.27,Sun 23:42:45 / Edit
ヘキ様、ステキ!v
鋼カオv小説書いてみたのですね・・・!!

うわぁ~読んでみたいです。

一二三はまだまだ未熟者ですよ!
これからも己を鍛えて頑張ります!

また遊びにきてね♪
Posted by 一二三(管理人)です - 2011.02.27,Sun 23:45:24 / Edit
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