Posted by 一二三 - 2010.11.21,Sun
今更の説明ですが、時系列はTVシリーズ最終話「英霊」のすぐ後です。
Part.2 も続けて読んでいただければ幸いです☆
つづきクリックで 『 I need you. 』 Part. 2 へどうぞ。
『 I need you. 』Part.2
―――・・・・
携帯の向こうで、鋼牙が小さくため息をついた。
・・・・ばれちゃってます?
ひょっとしてイラついてるとか・・・。
精一杯の虚勢も、鋼牙の前では無意味だった。
「・・・ごめん、ね・・・?」
≪・・・・・。≫
「・・・ほんとは・・・ぜんぜん、元気ないんだ・・・。」
私は少しずつ、ここ最近のことを話した。
鋼牙はただ黙って私の話に耳を傾けてくれている。
実はあまりクラスの人と上手くいっていないこと。
先生は私に期待してくれてるけど、それが時々重いこと。
絵のタッチを変えるべきか迷っていること。
絵を描いてても・・・どこか寂しいと思うこと。
・・・・・時々、もう辞めたい・・・と思うこと。
大好きなものが嫌いになりそうで怖いこと・・・。
胸のうちにあったわだかまりを全て鋼牙に打ち明けて、再び静寂が訪れた。
≪・・・・だったら辞めればいい。≫
・・・・・え・・・。
漸く答えた鋼牙の言葉は冷たいものだった。
突き放すような返事に、ショックを受けている間に鋼牙は二の句を告げる。
≪・・・辞めて、他に好きなことを探せばいい。≫
・・・・・。
ほんとうにそれでいいの・・・?
自問する。
「・・・・見つからなかったら・・・?」
問う声は震えていた。
≪見つからなければ、それはお前が絵を描くのが本当に好きだってことだ。
・・・前へ踏み出すのをためらってる奴に、夢なんか叶えられるか?≫
「でも・・!
才能ない・・し・・・。」
・・・・芸術に才能なんて関係ない。
そう言ったのは私だったのに・・・今は・・・そんな自信持てない・・・。
≪才能を持ってる、なんてろくでもない奴だ。
そんなものをひけらかす奴がいたら、お前はそれを努力で手に出来ることを見せ付けてやればいい。
誰だって、最初から出来るやつなんていない。
早いか遅いかはあっても、他の人に出来てお前にだけ出来ないことなんてあってたまるか。≫
それは怒りすら込めたような言葉だった。
鋼牙も・・・あるのかな?
諦めかけたこと・・・。
≪遅くてもいいからやってみろ。
やりもしないで、諦めるな。
お前はそんなに弱くないはずだ。≫
!・・・・鋼牙・・・。
≪・・・俺も頑張る。
俺だけの力じゃ足りなかったら、ゴンザもいる。零だってそうだ。
昨日は出来なかったことだって、明日は違うかもしれない。
努力した、頑張ったことを理由にして諦めては駄目だ。≫
そうだね・・・・鋼牙ならきっとそうする。
・・・・鋼牙はずっと、そうやって戦ってきたんだね・・・。
そうやってたくさんの人の命を守ってきたんだね・・・。
わたしを・・・助けてくれたんだよね・・・。
「あり・がとう・・・!!」
描くよ・・・まだ感謝を伝え切れてない。
まだ、何も返せてない。
「描くよ・・・!
わたし、描く!!
精一杯描くから・・・、だから・・・また見てくれるよね?
きっとだよね?」
≪・・・ああ。“きっと”だ。≫
鋼牙の言葉で、それまで曇っていた心に光が差した。
黄金騎士の光はこんな遠くの国まで届くんだね。
足りなかったものが今やっと分かったの。
私には・・・・鋼牙が 必要だよ・・・。
・・・会いたい、よ・・・。
・・・・・だめだよ・・・・、
やっぱり寂しいよ・・・。
だって・・・気付いちゃったもん・・・。
あの時、言えなかったけど・・・・、気付いたタイミングも最悪だったけど・・・
もう・・・遅いかもしれないけど・・・・やっぱり『好き』だってこと・・・。
心の中ではいっぱい言えるのに・・・・
寂しさと、嬉しさがまぜこぜで・・・言葉が上手く出てこない。
流れる涙を拭きたいけど、携帯から手を離したくなくてそのままにする。
≪・・・カオル?≫
再び押し黙ってしまった私を心配して鋼牙が呼びかけてくれた。
「ああ”っ・・!会いたいなぁ!!」
震える声音でもう一度、精一杯の虚勢で元気に振舞ってみせた。
顔を上げた拍子に涙がこぼれていく。
心配させたくない・・・。
≪・・・・・。
ちょっと、待ってろ。
今から行く。≫
・・・・・・は?
・・・・ええええっ!!?
「えっ!!?まって!待って鋼牙!」
“ちょっと”って距離じゃない!
それに・・・
「魔戒騎士の務めはどうするの!?」
≪・・・
・・・・そうだった。≫
今、気付いたような声に私は一気に脱力する。
ほんと、鋼牙ってしっかりしてるのか抜けてるのか分かんない。
思わず携帯に向かって噴き出してしまったじゃない。
「大丈夫!今ので何か元気でた。
今なら、フィレンツェの街に東京タワーをぶっ刺すことだって可能よ!」
≪・・・・すごいなそれは・・。≫
少し笑ったような気がする。
すぐ側に居るわけじゃないのに、空気でなんとなく伝わった。
「ありがとう、鋼牙・・・・・必ず、帰るよ。
だから・・・“信じて待ってろ”!」
いつか鋼牙が言ってくれたことを真似てみる。
少し恥ずかしかったけど・・・あの時、私がすごく嬉しかったことを伝えたくて・・・。
≪ !・・・・分かった。
留学は4年だったな?≫
「うん、でも飛び級して2年後には戻ってみせるから!」
≪じゃあ、2年後に・・・また会おう。≫
「うん!・・・・あ、でも。
時々・・・また電話してもいいかな・・・?」
恐る恐るといった感じで尋ねたのに・・・・。
答える鋼牙は至って当たり前みたいに言う。
≪・・・・国際電話は高いんだろう?≫
・・・・そうだけど、そんな理由って・・・。
確かに私は大金を持ち合わせていないし、今だってやっとの生活だ。
でも・・・意を決して告白まがいなことを言った女のコにそう返すの?
見えないのをいいことに頬を膨らます。
≪・・・だから、
・・・俺からかける・・・。≫
膨らんだ頬がみるみるしぼんでいったのを、誰も知らない。
☆Thanks!!2000 hit!☆
カオルはちゃんと鋼牙に返しているのになぁ・・・。by絵本とか翼人
お互いいまいち分かってないところが萌えポイントだと思っています・・・!!
ちなみにこのとき、鋼牙的には絵本の感想を聞かれなくてセーッフ!!;って気分だっただろうなぁと想像してくださいなww
その辺の話はまた後日・・・ムフフ・・。
それにしても鋼牙がちとしゃべりすぎですね。失敗しました。
語らずにどう鋼牙の気持ちをカオルに伝えるかがポイントだと思うんですけど・・・。
(ドラマとか映画、マンガなら表情で出来るんですが・・・)
あんまり喋らせすぎると鋼牙じゃないので・・・う~~~ん、難しいなあ!!
本来の鋼牙のイメージとズレて、皆さんの反感を買っていないといいんですが・・・ビクビク;
うん・・・。カオルも別人ですね・・・!
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