Posted by 一二三 - 2012.02.06,Mon
すいません!;遅くなりました!一二三ですorz
多忙につき、UPが大幅に遅れましたことをお詫び申し上げます!
あと、返信がまた溜まっておりますが;すいません!近いうちにお返事するようにいたしますので!
いましばらくお待ちいただければ幸いです(;´Д`)
メッセージ全てとってもありがたいです!
ほんと、不敬な一二三をお許しくださいませ。。。
とりあえずUPだけは!と10万hit☆御礼企画で決定した一題目のリクエストにお応えした小説をUPさせていただきます。
一題目のお題は・・・
『カオルが留学しているときに、ピアノで留学していた日本人の男性と知り合う。(以下内容に触れるため、割愛しますw)
私の希望としては、鋼牙にめーーーーーーちゃくちゃ焼きもちを焼かせてほしいのです!!』
です!
急遽構成上、前後半に分けさせていただきました;
とりあえず前半のみお先にUPします。
後半は明日の夜にはUP出来るとおもいますので、しばしお待ちを;
(※すいません;時間の都合上どうしても難しくてorz)
こんなぐだぐだ一二三ですが、お付き合いくださる方は「つづき」クリックで小説 『Kokoro』-前半ー へどうぞ。
!一応注意!
・鋼牙がオトメン☆
・オリキャラ全開
・後半は後日うp
多忙につき、UPが大幅に遅れましたことをお詫び申し上げます!
あと、返信がまた溜まっておりますが;すいません!近いうちにお返事するようにいたしますので!
いましばらくお待ちいただければ幸いです(;´Д`)
メッセージ全てとってもありがたいです!
ほんと、不敬な一二三をお許しくださいませ。。。
とりあえずUPだけは!と10万hit☆御礼企画で決定した一題目のリクエストにお応えした小説をUPさせていただきます。
一題目のお題は・・・
『カオルが留学しているときに、ピアノで留学していた日本人の男性と知り合う。(以下内容に触れるため、割愛しますw)
私の希望としては、鋼牙にめーーーーーーちゃくちゃ焼きもちを焼かせてほしいのです!!』
です!
急遽構成上、前後半に分けさせていただきました;
とりあえず前半のみお先にUPします。
後半は明日の夜にはUP出来るとおもいますので、しばしお待ちを;
(※すいません;時間の都合上どうしても難しくてorz)
こんなぐだぐだ一二三ですが、お付き合いくださる方は「つづき」クリックで小説 『Kokoro』-前半ー へどうぞ。
!一応注意!
・鋼牙がオトメン☆
・オリキャラ全開
・後半は後日うp
イタリアには多くの人が多くの夢を抱いて訪れる。
若き芸術家たちが夢を掴み、夢に挑み、夢に敗れる場所。
叶えるものはほんの一握りで、多くの才能ある芸術家たちが泡沫のように消えていった。
泡となって消えるか、美術史に名を残す雫になれるか。
あの日・・僕と君は、まだ何者でもなかった。
挽きたてのコーヒー豆の匂いで満たされたBARで、ブリオッシュを口いっぱいに頬張る君の姿を今でも思い出す。
ある日の午後、いつものように画材を買って冴島邸に帰宅途中だった私は、オブジェの浄化に出ていた鋼牙と偶然はちあわせした。
せっかくだから一緒に帰ろう、と商店街を横切る。
他愛のない話をしながら、茶色とピンクに彩られた街を眺めているとCDショップの窓に貼られているポスターに目がとまった。
「あーー!」
「な、なんだ?」
それはイタリア留学中に偶然出会った、ピアニスト志望の青年のポスターだった。
近々この近くのコンサートホールで生演奏があるらしい。
「きゃ~~!懐かしい~~!」
「知り合いか?」
「うん!イタリアにいる時に友達になったの。
今、日本に帰ってきてるんだ~・・・。
あのね鋼牙・・・」
私の住んでた街にはBARやカフェがいっぱいあってね。
そこは時々芸術家たちが集まってお互いの思想や夢、野望を語り合う場でもあったの。
私にも行きつけのBARがあったんだよ。
お酒はあんまり飲めなかったけど・・・。
ある日、朝食をBARで食べていたんだけどいざ会計になった時に財布を忘れたことに気付いて・・・。
慌てふためいているときに、偶然居合わせた彼がスッと横から手を伸ばしてお金を支払ってくれたの。
驚いてその人を見ると、彼はにっこり笑い、なじみ深い母国語で語りかけてくれてね・・・。
―「ここは僕が払います。
同じ日本人のよしみですよ。」
―「えっ!?あ・・・ありがとう、ございます・・!」
―「あ~!やっぱり日本人だ!
久しぶりに日本語で会話出来たよ・・・いいもんだね。」
それをきっかけに、彼とは友達になったのよ。
彼はピアニストを目指してイタリアに留学してきたんだって。
それから何度か馴染みのBARで一緒に朝食をとった。
毎日というわけじゃないし、本当に数える程だったけれど、とても安らぎを感じる時間だったの。
私は帰国する日の朝、せめてお別れを言おうといつものあのBARに行ったけれど、なぜか彼は姿を見せなかった。
結局、挨拶一つすることもなく私は日本に帰り、あの青年がそれからどうしているかも分からないまま・・・。
「そんなことがね、あったの。」
「そうか・・・。
彼がその青年なのか?」
「うん!ちょっと大人っぽい顔つきになったけど間違いないよ。
そっかぁ~~、ピアニストの夢・・叶ったんだね。」
ポスターに向かってしみじみと呟いた。
「・・・コンサート、行ってみたらどうだ?
会えるかもしれない。」
「うーん、でも私のことなんて憶えてないかも、えへへ・・・。」
「そんなことは・・ないと思うが。
お前にとって安らげる時間だったんだろう?
多分、この男にとっても・・・・・」
そこまで言って、鋼牙は口を噤んだ。
「なぁに?鋼牙。」
「・・・なんでもない。」
フイと視線をそらして、鋼牙は再び歩き出す。
変なの。
彼の三歩後ろを歩きながら疑問に思うけれど、いつものことだしあまりに気にしないことにした。
それから3日後――・・・
例のポスターが貼ってある道沿いを歩いていたところ、不意に声をかけられた。
「あ・・・れ?
カオルさんじゃありませんか!?もしかして・・・」
「へ?」
振り返るとそこには、あのポスターの人物。
イタリアで友達になったピアニストの彼が立っていた。
ポスターの写真とは違い無精ひげが伸びていたけれど、あのショルダーバックとぼてっと服装は間違いなく彼だ!
「あーー!久しぶり~~!
ていうか、相変わらずヒゲ剃ってない!
ふふっ!変わってませんね。」
「あ・・・あぁ、ははっ!
そうなんです。
コンサートや、こういうポスターとか取材の時以外はものぐさで;」
「別人みたいに綺麗にしてたから驚いちゃった!」
彼はイタリアでもよく無精ひげをそのままにしていた。
服装も変わり映えしなくて、いつも大体ポロシャツ姿。
なんでもピアノに熱中しちゃうと、つい身のまわりのことを忘れちゃうみたい。
一見だらしなく見える風体だけれど、少年のように輝くまるっこい瞳は人懐っこく親しみやすい光をたたえたままだ。
「まさかまた逢えるなんて!」
彼は感慨深く息をつく。
あ・・・そうだ。
「あ、あの!イタリアから帰国する時、挨拶も無しでごめんなさい!
私あのBARに行ったんですけど、会えなくて・・・・。
連絡先も聞いてなかったから。」
「いいえ!
僕の方こそ・・・。
BARのレジ打ちのおばさんから、カオルさんが帰国したって聞いて・・。
ちょうどその日は大事なコンクールがあったんです。
ぜったい、入賞したいコンクールが・・・。」
すぐ側に貼られている彼のポスターにはでかでかと○○賞入賞!と金文字で書いてある。
「入賞・・・したんですね。
じゃあ、今回のコンサートは凱旋帰国ってやつですね!」
彼はほっぺを赤く染めて、照れくさそうに頭の裏を掻いた。
「あ・・・いやァ。
そんな、まだまだで・・・。
それに本当のことを言うと、賞は別にどうでも良かったんです。
あ、と・・・それは置いといて;
小さいコンサートホールなんです。
観客もほとんど身内ばっかりみたいな。」
「そうなんですか?
でもほんと!おめでとうございます♪
私、応援してますから!」
「あ、あの!カオルさん、良かったらコンサート来てくれませんか!?
本当は、あなたに・・・!」
「?」
「あ・・・えと、カオルさんにも聞いてもらえたら素敵だな、とずっと思ってたんです。
もし、何もご予定が無ければ・・。
いえ!その日がダメでも、別に日にでも・・・!」
こうやって再会できたのも何かの縁だよね。
彼のピアノを聴いてみたい。
「行きます!
行こうかどうか迷ってたんですけど、行くことにしました。」
私の返事にパァと顏を明るくした彼は、ショルダーバッグの中をゴソゴソと探りながら語りかける。
「あ・・・・。
じゃ、じゃあ・・・今2枚チケット持ってるんで、差し上げます!」
「え!?でもそんな・・・買いますよ!」
「いいんです!
御身内の方とか・・・お友達を誘ってきてください!
待ってますから。
待ってますから・・・!」
そういって、バッグからチケットを取り出すと、彼は両手で差し出して頭を下げた。
タダで貰っちゃってもいいものかな~?;と思いつつ、ありがたく受け取ることにする。
「じゃ、じゃあ・・・!
僕、これからホールで打ち合わせがあるのでこれで・・・!
あの、待ってますから必ず来てくださいね!」
彼はもう一度深く頭を下げると、赤くなった顔を隠すように足早に通り過ぎて行った。
?・・・そんなに照れることかなぁ?
でも・・・なんだか嬉しい。
私のこと憶えててくれた。
それに、ポスターに張り出されるくらいすっごく偉くなって帰ってきたはずなのに、彼の私に対する態度はなにも変わってなかった。
思えば、彼の演奏を聴くのは初めてで・・・。
「コンサート、楽しみだなぁ!」
そうだ!せっかくだしダメ元で鋼牙を誘ってみよう♪
多分、コンサートなんて行ったこと無いよね。
留学時代の思い出を思い起こしながら、私は弾む足取りで家路についた。
―――・・・
「・・・・。」
「ね、どう?
明日の夜なんだけど?」
一日の終わりに自室で本を片手にくつろぐ鋼牙をコンサートに誘ってみた。
昼間彼にばったり会えたこと。
チケットを2枚もらったことを話したけれど、鋼牙は曖昧な相槌ばかり・・・。
そしてやっぱり案の定おなじみの返答。
「・・・指令書が来るかもしれない。」
「うん、だから来なかったら!」
「来たらどうするんだ?」
お前は行くのか?と問われる。
「え?そうね~~、ゴンザさんを誘っていこうかな♪」
「・・・・。
・・・・結局行くのか・・・。」
ボソッと鋼牙が呟いた。
それはつい出てしまった言葉のようで、鋼牙は気まずそうに目線をそらせた。
「なに?まるで行ってほしくないみたいなんだけど・・・。」
尋ねる私にそっぽを向いて鋼牙は本に向き直る。
「・・・ ・・・あぁ。」
「えぇ?どうして?」
「別に・・・俺の気持ちなんてどうだっていいだろう・・・。」
そう答えると鋼牙は苛立ちを顕わに眉間に皺を寄せた。
何で怒ってるの?
「むっ・・・何その言い方・・・。
よくないよ!」
どうだってよくない。
だから聞いてるんじゃない。
「~~~っうるさい・・・!
どうせ行くんだろう!
だったら俺の都合なんて関係ない。」
そんな・・・
「そんな言い方ってないよ!
私は、鋼牙が一緒に行けるなら!
一緒に行きたいなって・・・ただ・・・そう思っただけだもん・・・。」
どうして行ってほしくないの?
どうして行きたくないの?
私なにか鋼牙の気に障ること言った?
部屋の空気は最悪だった。
何も答えない鋼牙の冷たい背中が、ますます私の居場所を奪っていく。
このままここにいるのは耐えられなくて、私は自分の両手をぎゅっと握りこんだ。
「・・・・ごめん・・、忙しいのに・・・無理言った・・。
ごめんね・・・・鋼牙・・・・。」
なんとか謝ったけど、鋼牙の反応を見るのが怖い。
結局彼が何か言う前に、私は逃げるように鋼牙の部屋を出た。
カオルが閉めた扉を、追いすがるような目で見つめる自分が・・・鋼牙は情けなくて仕方がなかった。
自分でもよく分からないわだかまりと苛立ち。
心のままに彼女にぶつけて傷つけた。
カオルは何一つ悪くないのに・・・。
鋼牙は自分の頬をバチン!と平手で打った。
熾烈な音がしんと静まり返る部屋に響く。
「・・・・くそったれ。」
苦々しく口にした。
なんでこういう時、黙ってしまうんだろう・・・俺は。
力なくベッドに横になって、強く瞼を閉じた。
力付くでも寝ようと思った。
瞼の奥に焼きついた、カオルの顔。
傷ついた顏と、あのピアニストのポスターの前で見せた顏が交互に浮かぶ。
懐古の眼差し。
俺の知らないカオルの・・・・。
胸に抱えた不快感が痛みを伴って喉をせりあがってくる。
分かってる・・・『嫉妬』だ。
この暗闇は。
外に漏れださないように、ぎゅっと肩を抱きしめて抑え込んだ。
「・・・っ、好きだ・・・。
好きなんだ・・・カオ、ル・・・!」
それでも抑えきれない想いが、決して口にできない想いが・・・こぼれる。
今にも破裂しそうだった。
誰にも負けない。
誰にも譲れない。
大切過ぎて傷つけるなんて滑稽だ・・・。
―――・・・
明日もう一回ちゃんと謝ろう!
カオルは自室のベッドに顔面からボスンと倒れ込みながら心に決める。
「う~~こうがぁ~~。」
喧嘩しちゃった・・・。
やだよ~~~鋼牙、鋼牙ぁ~~。
キライにならないで・・・!
枕に顔面を埋めたまま、足だけバタバタさせた。
こんなめんどくさい姿見られたらきっとますます嫌われちゃう。
「う~~!
好きなのに~~~、こうがぁ~~。」
好きな気持ち。
それは何よりも強くて・・・。
「・・・・今夜はきっと疲れてただけ、だよね・・?」
大丈夫、この気持ちがあれば。
明日はもっと素直に・・・・。
明日はきっと・・・。
両想いなのにお互い片想いな人たちw
思ってることは一緒、っていうところが一二三的鋼カオクオリティ(笑)です。
構成上、前後編に分けました。
後編もよろしくお願いします。
カオル同様、皆様も「明日はきっと・・・」と思ってくださると嬉しいですw
若き芸術家たちが夢を掴み、夢に挑み、夢に敗れる場所。
叶えるものはほんの一握りで、多くの才能ある芸術家たちが泡沫のように消えていった。
泡となって消えるか、美術史に名を残す雫になれるか。
あの日・・僕と君は、まだ何者でもなかった。
挽きたてのコーヒー豆の匂いで満たされたBARで、ブリオッシュを口いっぱいに頬張る君の姿を今でも思い出す。
『 Kokoro 』―前編―
ある日の午後、いつものように画材を買って冴島邸に帰宅途中だった私は、オブジェの浄化に出ていた鋼牙と偶然はちあわせした。
せっかくだから一緒に帰ろう、と商店街を横切る。
他愛のない話をしながら、茶色とピンクに彩られた街を眺めているとCDショップの窓に貼られているポスターに目がとまった。
「あーー!」
「な、なんだ?」
それはイタリア留学中に偶然出会った、ピアニスト志望の青年のポスターだった。
近々この近くのコンサートホールで生演奏があるらしい。
「きゃ~~!懐かしい~~!」
「知り合いか?」
「うん!イタリアにいる時に友達になったの。
今、日本に帰ってきてるんだ~・・・。
あのね鋼牙・・・」
私の住んでた街にはBARやカフェがいっぱいあってね。
そこは時々芸術家たちが集まってお互いの思想や夢、野望を語り合う場でもあったの。
私にも行きつけのBARがあったんだよ。
お酒はあんまり飲めなかったけど・・・。
ある日、朝食をBARで食べていたんだけどいざ会計になった時に財布を忘れたことに気付いて・・・。
慌てふためいているときに、偶然居合わせた彼がスッと横から手を伸ばしてお金を支払ってくれたの。
驚いてその人を見ると、彼はにっこり笑い、なじみ深い母国語で語りかけてくれてね・・・。
―「ここは僕が払います。
同じ日本人のよしみですよ。」
―「えっ!?あ・・・ありがとう、ございます・・!」
―「あ~!やっぱり日本人だ!
久しぶりに日本語で会話出来たよ・・・いいもんだね。」
それをきっかけに、彼とは友達になったのよ。
彼はピアニストを目指してイタリアに留学してきたんだって。
それから何度か馴染みのBARで一緒に朝食をとった。
毎日というわけじゃないし、本当に数える程だったけれど、とても安らぎを感じる時間だったの。
私は帰国する日の朝、せめてお別れを言おうといつものあのBARに行ったけれど、なぜか彼は姿を見せなかった。
結局、挨拶一つすることもなく私は日本に帰り、あの青年がそれからどうしているかも分からないまま・・・。
「そんなことがね、あったの。」
「そうか・・・。
彼がその青年なのか?」
「うん!ちょっと大人っぽい顔つきになったけど間違いないよ。
そっかぁ~~、ピアニストの夢・・叶ったんだね。」
ポスターに向かってしみじみと呟いた。
「・・・コンサート、行ってみたらどうだ?
会えるかもしれない。」
「うーん、でも私のことなんて憶えてないかも、えへへ・・・。」
「そんなことは・・ないと思うが。
お前にとって安らげる時間だったんだろう?
多分、この男にとっても・・・・・」
そこまで言って、鋼牙は口を噤んだ。
「なぁに?鋼牙。」
「・・・なんでもない。」
フイと視線をそらして、鋼牙は再び歩き出す。
変なの。
彼の三歩後ろを歩きながら疑問に思うけれど、いつものことだしあまりに気にしないことにした。
それから3日後――・・・
例のポスターが貼ってある道沿いを歩いていたところ、不意に声をかけられた。
「あ・・・れ?
カオルさんじゃありませんか!?もしかして・・・」
「へ?」
振り返るとそこには、あのポスターの人物。
イタリアで友達になったピアニストの彼が立っていた。
ポスターの写真とは違い無精ひげが伸びていたけれど、あのショルダーバックとぼてっと服装は間違いなく彼だ!
「あーー!久しぶり~~!
ていうか、相変わらずヒゲ剃ってない!
ふふっ!変わってませんね。」
「あ・・・あぁ、ははっ!
そうなんです。
コンサートや、こういうポスターとか取材の時以外はものぐさで;」
「別人みたいに綺麗にしてたから驚いちゃった!」
彼はイタリアでもよく無精ひげをそのままにしていた。
服装も変わり映えしなくて、いつも大体ポロシャツ姿。
なんでもピアノに熱中しちゃうと、つい身のまわりのことを忘れちゃうみたい。
一見だらしなく見える風体だけれど、少年のように輝くまるっこい瞳は人懐っこく親しみやすい光をたたえたままだ。
「まさかまた逢えるなんて!」
彼は感慨深く息をつく。
あ・・・そうだ。
「あ、あの!イタリアから帰国する時、挨拶も無しでごめんなさい!
私あのBARに行ったんですけど、会えなくて・・・・。
連絡先も聞いてなかったから。」
「いいえ!
僕の方こそ・・・。
BARのレジ打ちのおばさんから、カオルさんが帰国したって聞いて・・。
ちょうどその日は大事なコンクールがあったんです。
ぜったい、入賞したいコンクールが・・・。」
すぐ側に貼られている彼のポスターにはでかでかと○○賞入賞!と金文字で書いてある。
「入賞・・・したんですね。
じゃあ、今回のコンサートは凱旋帰国ってやつですね!」
彼はほっぺを赤く染めて、照れくさそうに頭の裏を掻いた。
「あ・・・いやァ。
そんな、まだまだで・・・。
それに本当のことを言うと、賞は別にどうでも良かったんです。
あ、と・・・それは置いといて;
小さいコンサートホールなんです。
観客もほとんど身内ばっかりみたいな。」
「そうなんですか?
でもほんと!おめでとうございます♪
私、応援してますから!」
「あ、あの!カオルさん、良かったらコンサート来てくれませんか!?
本当は、あなたに・・・!」
「?」
「あ・・・えと、カオルさんにも聞いてもらえたら素敵だな、とずっと思ってたんです。
もし、何もご予定が無ければ・・。
いえ!その日がダメでも、別に日にでも・・・!」
こうやって再会できたのも何かの縁だよね。
彼のピアノを聴いてみたい。
「行きます!
行こうかどうか迷ってたんですけど、行くことにしました。」
私の返事にパァと顏を明るくした彼は、ショルダーバッグの中をゴソゴソと探りながら語りかける。
「あ・・・・。
じゃ、じゃあ・・・今2枚チケット持ってるんで、差し上げます!」
「え!?でもそんな・・・買いますよ!」
「いいんです!
御身内の方とか・・・お友達を誘ってきてください!
待ってますから。
待ってますから・・・!」
そういって、バッグからチケットを取り出すと、彼は両手で差し出して頭を下げた。
タダで貰っちゃってもいいものかな~?;と思いつつ、ありがたく受け取ることにする。
「じゃ、じゃあ・・・!
僕、これからホールで打ち合わせがあるのでこれで・・・!
あの、待ってますから必ず来てくださいね!」
彼はもう一度深く頭を下げると、赤くなった顔を隠すように足早に通り過ぎて行った。
?・・・そんなに照れることかなぁ?
でも・・・なんだか嬉しい。
私のこと憶えててくれた。
それに、ポスターに張り出されるくらいすっごく偉くなって帰ってきたはずなのに、彼の私に対する態度はなにも変わってなかった。
思えば、彼の演奏を聴くのは初めてで・・・。
「コンサート、楽しみだなぁ!」
そうだ!せっかくだしダメ元で鋼牙を誘ってみよう♪
多分、コンサートなんて行ったこと無いよね。
留学時代の思い出を思い起こしながら、私は弾む足取りで家路についた。
―――・・・
「・・・・。」
「ね、どう?
明日の夜なんだけど?」
一日の終わりに自室で本を片手にくつろぐ鋼牙をコンサートに誘ってみた。
昼間彼にばったり会えたこと。
チケットを2枚もらったことを話したけれど、鋼牙は曖昧な相槌ばかり・・・。
そしてやっぱり案の定おなじみの返答。
「・・・指令書が来るかもしれない。」
「うん、だから来なかったら!」
「来たらどうするんだ?」
お前は行くのか?と問われる。
「え?そうね~~、ゴンザさんを誘っていこうかな♪」
「・・・・。
・・・・結局行くのか・・・。」
ボソッと鋼牙が呟いた。
それはつい出てしまった言葉のようで、鋼牙は気まずそうに目線をそらせた。
「なに?まるで行ってほしくないみたいなんだけど・・・。」
尋ねる私にそっぽを向いて鋼牙は本に向き直る。
「・・・ ・・・あぁ。」
「えぇ?どうして?」
「別に・・・俺の気持ちなんてどうだっていいだろう・・・。」
そう答えると鋼牙は苛立ちを顕わに眉間に皺を寄せた。
何で怒ってるの?
「むっ・・・何その言い方・・・。
よくないよ!」
どうだってよくない。
だから聞いてるんじゃない。
「~~~っうるさい・・・!
どうせ行くんだろう!
だったら俺の都合なんて関係ない。」
そんな・・・
「そんな言い方ってないよ!
私は、鋼牙が一緒に行けるなら!
一緒に行きたいなって・・・ただ・・・そう思っただけだもん・・・。」
どうして行ってほしくないの?
どうして行きたくないの?
私なにか鋼牙の気に障ること言った?
部屋の空気は最悪だった。
何も答えない鋼牙の冷たい背中が、ますます私の居場所を奪っていく。
このままここにいるのは耐えられなくて、私は自分の両手をぎゅっと握りこんだ。
「・・・・ごめん・・、忙しいのに・・・無理言った・・。
ごめんね・・・・鋼牙・・・・。」
なんとか謝ったけど、鋼牙の反応を見るのが怖い。
結局彼が何か言う前に、私は逃げるように鋼牙の部屋を出た。
カオルが閉めた扉を、追いすがるような目で見つめる自分が・・・鋼牙は情けなくて仕方がなかった。
自分でもよく分からないわだかまりと苛立ち。
心のままに彼女にぶつけて傷つけた。
カオルは何一つ悪くないのに・・・。
鋼牙は自分の頬をバチン!と平手で打った。
熾烈な音がしんと静まり返る部屋に響く。
「・・・・くそったれ。」
苦々しく口にした。
なんでこういう時、黙ってしまうんだろう・・・俺は。
力なくベッドに横になって、強く瞼を閉じた。
力付くでも寝ようと思った。
瞼の奥に焼きついた、カオルの顔。
傷ついた顏と、あのピアニストのポスターの前で見せた顏が交互に浮かぶ。
懐古の眼差し。
俺の知らないカオルの・・・・。
胸に抱えた不快感が痛みを伴って喉をせりあがってくる。
分かってる・・・『嫉妬』だ。
この暗闇は。
外に漏れださないように、ぎゅっと肩を抱きしめて抑え込んだ。
「・・・っ、好きだ・・・。
好きなんだ・・・カオ、ル・・・!」
それでも抑えきれない想いが、決して口にできない想いが・・・こぼれる。
今にも破裂しそうだった。
誰にも負けない。
誰にも譲れない。
大切過ぎて傷つけるなんて滑稽だ・・・。
―――・・・
明日もう一回ちゃんと謝ろう!
カオルは自室のベッドに顔面からボスンと倒れ込みながら心に決める。
「う~~こうがぁ~~。」
喧嘩しちゃった・・・。
やだよ~~~鋼牙、鋼牙ぁ~~。
キライにならないで・・・!
枕に顔面を埋めたまま、足だけバタバタさせた。
こんなめんどくさい姿見られたらきっとますます嫌われちゃう。
「う~~!
好きなのに~~~、こうがぁ~~。」
好きな気持ち。
それは何よりも強くて・・・。
「・・・・今夜はきっと疲れてただけ、だよね・・?」
大丈夫、この気持ちがあれば。
明日はもっと素直に・・・・。
明日はきっと・・・。
To be continued
両想いなのにお互い片想いな人たちw
思ってることは一緒、っていうところが一二三的鋼カオクオリティ(笑)です。
構成上、前後編に分けました。
後編もよろしくお願いします。
カオル同様、皆様も「明日はきっと・・・」と思ってくださると嬉しいですw
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Comments
無題
鋼牙の「好きだ」ってところ凄く(・∀・)イイ!!
萌━━━━ハァ(* ´Д`)ハァ━━━━ぇ↑↑
もっとお互いはっきり言ったら良いのに―
と、みてるこっちをヤキモキさせるのが
鋼カオクオリティ(笑)
後編も楽しみにしています♪
萌━━━━ハァ(* ´Д`)ハァ━━━━ぇ↑↑
もっとお互いはっきり言ったら良いのに―
と、みてるこっちをヤキモキさせるのが
鋼カオクオリティ(笑)
後編も楽しみにしています♪
Re:無題
カオル様、おいでませww(笑)
熱いコメントありがとうございます!
なんだろう///すっごく照れるんですけども・・・!!ww
なんかこう、作中のセリフとか書いてくださるとめっちゃくちゃ恥ずかしい!(*´Д`)。*°
後編も楽しんでくれてたらいいのですが・・・。
実は『いわくつきの後編』・・・『呪われし後編』・・・・ガクブル(´Д`|||) ※注・一二三的に
後編、拍子抜けだったらすいません!;
またぜひ、遊びに来てくださいませv
熱いコメントありがとうございます!
なんだろう///すっごく照れるんですけども・・・!!ww
なんかこう、作中のセリフとか書いてくださるとめっちゃくちゃ恥ずかしい!(*´Д`)。*°
後編も楽しんでくれてたらいいのですが・・・。
実は『いわくつきの後編』・・・『呪われし後編』・・・・ガクブル(´Д`|||) ※注・一二三的に
後編、拍子抜けだったらすいません!;
またぜひ、遊びに来てくださいませv
初めまして
初めまして。こちらのサイトに今日入りましたが、とても綺麗な文章で感動しました。自分にも書けたらいいのになと思いました。
突然の質問で、すみません。
under gerdenという小説を読みたいのですが、どのようにしたらいいのか教えていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。
突然の質問で、すみません。
under gerdenという小説を読みたいのですが、どのようにしたらいいのか教えていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。
Re:初めまして
初めまして、砂時計様!
管理人の一二三です。
返信が遅くなりまして、すみませんでした!
身に余るお褒めの言葉、恐縮であります。
大変ありがたく頂戴いたしました。
さっそくお問い合わせの件ですが、
「under gerden」はですね、右柱にある項目カテゴリーの“『under gerden』情報!”の最古記事に詳細がのっております。
(リンク→http://clock.tosalog.com/Entry/88/)
(※もしモバイルからご覧の場合は、一番最初にカテゴリー欄があります)
まずこちらを読んでいただいて、パスワードが分からない場合は一二三の個人アドレスの方にメッセージをくださいませ。(→Ritsu.Nikaidou@gmail.com)
他、なにかお聞きしたいこと等ありましたら、お気軽にこちらにメールを下さいませ。
モバイル&スマフォからも歓迎です。
では、何卒よろしくお願い申し上げます。
管理人の一二三です。
返信が遅くなりまして、すみませんでした!
身に余るお褒めの言葉、恐縮であります。
大変ありがたく頂戴いたしました。
さっそくお問い合わせの件ですが、
「under gerden」はですね、右柱にある項目カテゴリーの“『under gerden』情報!”の最古記事に詳細がのっております。
(リンク→http://clock.tosalog.com/Entry/88/)
(※もしモバイルからご覧の場合は、一番最初にカテゴリー欄があります)
まずこちらを読んでいただいて、パスワードが分からない場合は一二三の個人アドレスの方にメッセージをくださいませ。(→Ritsu.Nikaidou@gmail.com)
他、なにかお聞きしたいこと等ありましたら、お気軽にこちらにメールを下さいませ。
モバイル&スマフォからも歓迎です。
では、何卒よろしくお願い申し上げます。
龍鈴様、そうですよね!ww
今回も拍手メッセージありがとうございます!
そうですよね!w
原作鋼牙はこんな可愛い嫉妬の仕方しないかもしれませんww
どうも一二三は鋼牙をかわいこちゃんvにしちゃうみたいですね(←無意識w)
なんかこう原作の「誰がお前なんかに・・・///」とか言ってた頃の鋼牙が可愛くってですねww(笑)
あれを忘れられない・・・!!☆
なんだあの25歳ww
龍鈴様の鋼カオ不憫な夢、とっても楽しかったです!
またよろしくお願いします☆(無茶ぶりw)
みお様、また遊びに来てくれてありがとうございます!
拍手メッセージとっても嬉しいですv
返信溜まりまくっててすいません!!善処します;orz
悶々いただきました☆ゲッツ!!
はははw皆様を悶々させるのが好きなのですごく嬉しいです。
一二三の体調等、気遣って頂き誠にありがとうございます!
ぜひ、また遊びに来てください!♪
いつでも大歓迎です!
返信溜まりまくっててすいません!!善処します;orz
悶々いただきました☆ゲッツ!!
はははw皆様を悶々させるのが好きなのですごく嬉しいです。
一二三の体調等、気遣って頂き誠にありがとうございます!
ぜひ、また遊びに来てください!♪
いつでも大歓迎です!
なな様、胸きゅん!?
拍手メッセージvゴッチャンデス☆
一二三とりあえず生きてます。
大阪のテンションがずるずると続いており、こまったw\(^o^)/
胸キュンかぁ・・・大阪行くまで忘れてました・・・
そんなピュアな気持ちww
なな様ありがとう!
一二三とりあえず生きてます。
大阪のテンションがずるずると続いており、こまったw\(^o^)/
胸キュンかぁ・・・大阪行くまで忘れてました・・・
そんなピュアな気持ちww
なな様ありがとう!
みゆ様、こんにちは!
「鋼牙○○疑惑」気になりますか・・!ww
大丈夫です☆
みゆ様だけじゃないですよ!w
翼くんはもう○○確定でしょう!
(↑すいません;一二三による刷り込みな気もします。)
後編も楽しんで頂けていたら幸いです。
またよろしくお付き合いくださいね!
是空様、こちらこそありがとうございます!
こんばんは☆拍手メッセージすごく助かります!ありがとうですv
両想いなのに片想いが鋼カオクオリティですよね~w
確かにカオルって隙だらけですね。
鋼牙はずっと胃をキリキリさせてそうですw
次回も宜しくお付き合いください!
両想いなのに片想いが鋼カオクオリティですよね~w
確かにカオルって隙だらけですね。
鋼牙はずっと胃をキリキリさせてそうですw
次回も宜しくお付き合いください!
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