Posted by 一二三 - 2011.12.24,Sat
メリークリスマス!!☆
一二三です!!ギリギリです!!Σ(゚Д゚;)
今回の作品はお友達のなな様とコラボレーション第二弾です!!
時間が無いので、細かい説明は後で追記します!!;汗
では「つづき」クリックで小説 『聖夜の奇跡』 前編へどうぞ!
クリスマスって、今まで特別良い思い出なんてなかった。
ツリーとかオーナメントの綺麗な細工とか、美しく灯っているイルミネーションを眺めては写生するのが毎年の恒例。
すれ違う親子連れや恋人同士達を見ては、自分には関係ないって冷めた感覚で思ってた。
それが私のクリスマス。
子供の頃からサンタクロースなんていないって知ってたし。
どこか、諦めてた。
もし居たとしても、私のところにはサンタクロースは来てくれないんじゃないかって。
でも去年のクリスマス。
私は、一人の無口なサンタクロースに出会ったの。
いつか子供が出来たらその子に話すわ。
サンタさんは、小太りのおじいさんなんかじゃなくて、細見で背が高いすっごくかっこいい人なんだよ、って。
『聖夜の奇跡』
~~66999hit request☆Collaboration novel in 2011.X’mas ~
―「うーん・・・///
鋼牙・・・。」
「カオル。」
鋼牙の透き通った瞳にイルミネーションの明かりが反射している。
なんて綺麗なんだろう・・・。
鋼牙と一緒にいると心臓がひっくり返りそうなくらい、いつもドキドキしてる。
あ~~彼を描きたい!って心の底から波みたいに衝動が押し寄せて落ち着かないの。
それなのに、持っていたスケッチブックを鋼牙にひょいと取り上げられて・・・
―「あ~~ひどい~~・・・!」
「・・・・。」
―「ばかばか鋼牙ぁ~~!」
「馬鹿だと・・・?」
あれ?なんか急に息しづらい・・・?;
―「む~~、んー・・・。」
なんだか、だんだん周りが明るくなっていく気がする~~・・・。
やだー!まだもうちょっと~~!
でも苦しい~~!
「んっ!?」
ぱちっと目を開けると至近距離に鋼牙の顔が・・・!
唇には柔らかい感触。
彼の閉じた瞼が薄く開いて、ようやく息苦しさから解放されたけど、私は驚きを通り越して何も言葉が出てこなかった。
太陽の匂いと大好きな彼の匂いに包まれて、まるでまだ夢の中みたい。
「・・・やっと起きたか。」
「はわわわ・・!ノックしてよーーー!!」
慌てて飛び起きて、布団を引き上げた。
だって、顏が真っ赤で恥ずかしいんだもん・・・。
そんな私に鋼牙は呆れて答える。
「ノックなら10回、起きろと5回声をかけたぞ。」
え・・・そうなの?;
「ずいぶんぐっすり眠っていたから疲れているのかと思ったら・・・
寝言で俺を罵倒したな?」
「さーて!;今日もいい天気~~♪」
「・・・・。
起きたなら、着替えて朝食にしろ。
ゴンザが待ちくたびれてるぞ。」
「はーい!」
鋼牙が出てくるなんて・・・良い夢、見たな~。
それだけでなんか今日はいいことありそうな気がする!
だってクリスマスだし♪
鋼牙と恋人になったのが去年のクリスマス。
一年間は瞬く間に過ぎてしまったし、大変なことも悲しいこともたくさんあったけど、鋼牙と一緒の一年間は私にとってとっても大きな成長をもたらしたように思う。
美術評論家にどんなに厳しいことを言われても無意味に落ち込んだりしなくなったし、自分を見失いそうになっても、立て直すことが出来るようになった。
きっと一人じゃ乗り越えられなかったことも、鋼牙となら前へ進めた。
次の一年がどんな一年になるのか、まだ分からないけれど。
「前進あるのみ!よーし!」
今日という一日の始まりに、気合を入れて私はカーテンを開けた。
―――・・・
着替えて一階に下りると、ゴンザさんが用意した完璧なバランスの朝食が湯気を立てて並んでいた。
「わー!おいしそう!」
「おはようございます、カオル様。
今朝はイタリアンブルスケッタですよ。」
鮮やかなトマトとハーブの色合いがとっても美味しそうなパン。
赤と緑の配色がクリスマスぽくて嬉しい。
ゴンザさんはそういう配慮が出来る人だから、きっと気を利かせてくれたんだと思う。
「いただきまーす!」
《カオル、今朝は朝から上機嫌だな。》
鋼牙の左中指からザルバが話しかけた。
「うふふ、わかる~?ザルバ。
今日はクリスマスイブなんだよ!」
《俺様にはよく分からんな。
人間はなんだってそういうのにこだわるんだ?》
「いいではありませんか。
クリスマスはわたくしも好きですよ。」
《・・・なんだ、ゴンザはカオルの味方か。》
「えぇ!今年は素晴らしいクリスマスになるのですから!
鋼牙様とカオル様が恋人同士になられてちょうど・・・・」
「ゴンザ。」
「ゴホン!
カオル様、わたくしは今夜から明日の昼にかけまして出かけて参ります。」
「え?どこに行くのゴンザさん?」
「今年は零殿のお宅で、閑岱の邪美様や山刀兄弟のお二方と集まってクリスマスパーティーを行うのです。
25日のパーティーに向けて、今日からわたくしはあの埃だらけのお家を掃除してまいります。」
「わぁ!零君のとこでパーティー?楽しそう~~!
ね、鋼牙も行くの?」
「・・・指令書が来なければな。
お前は行ってくるといい。」
「え?私だけ?でも零君だって指令書が来たら魔戒騎士の仕事をしに行くんでしょ?」
「去年、零に俺の管轄を少し手伝ってもらったから。
それで今年はその逆だ。」
「そうなんだ。」
私の知らないところで、零君は本当にいろいろ助けてくれてたんだね。
「じゃあ、頑張らないとね。」
「ああ。」
「今夜はゴンザさんの代わりに私がめいっぱいお世話してあげるから!」
「・・・・いい、遠慮する;」
「なぁに~?遠慮しなくてもいいのに。」
「・・・ごちそうさま。
オブジェの浄化に行ってくる。」
「行ってらっしゃいませ、鋼牙様。」
「いってらっしゃーい!」
白いコートを羽織りながら鋼牙は玄関ホールに続く扉を押した。
―――・・・
私も鋼牙より少し遅れて、屋敷を出る。
鋼牙へのクリスマスプレゼントを注文していた店に立ち寄って品物を受け取った後、今度はスーパーに行こうと横断歩道を渡る。
クリスマスカラーで彩られた街を歩きながら、コートに身を包んだ人々がそれぞれ綺麗な包装紙で包まれたケーキ箱とか、どこかのデパートの共通のクリスマス袋を提げて行きかうのを見て、やっぱりクリスマスっていいなぁ~と思う。
みんな誰かの笑顔が見たいから。
それぞれ想いのこもったプレゼントを用意したり、ケーキやチキンを持参したり。
もちろん一人で過ごす人だっていると思うし、仕事で忙しくってそれどころじゃない人もたくさんいると思う。
私も去年まではクリスマスは一人だった。
誰かに何かをプレゼントするってこんなに幸せな気持ちになるって知らなかった。
クリスマスはプレゼントする方だって幸せになれる、私はそう思うな。
うふふ、私からのプレゼントを見たら・・・鋼牙どんな顔するかな~?
喜んでくれるといいなぁ。
私は右手の紙袋を抱え直して、歩くスピードを速めた。
中身は・・・私がデザインしたガロの『スノードーム』
今描いている絵本のラストシーンをモチーフにした、世界にたった一つしかないもの。
美術展で出会ったスノーボールのデザイナーさんの伝手で、作ってもらえることになったのだ。
頼んだのはクリスマスの1週間前だったし、シーズンで忙しいときに無理を言っちゃったけど、快く引き受けてくれて・・・。
私も中のフィギュアの色付けをやったんだよ?
あー早く、鋼牙に見せたいな~!
夕食は何を作ろうかな?
鳥の丸焼きとか?
それなら焼くだけだし、私にも出来るかな~?
あれこれと楽しみなことを考えながら歩いていたせいか、前方不注意になってしまっていた。
―「おおおっ!?;わわーー!」
「え?」
初老の男性の慌てた声に驚いて、カオルがそちらを向くと民家に壁に立てかけられている梯子に太めの男性が一人・・・しかもそれは倒れ込んできた・・・!!
「きゃー!」
危ない!
カオルは手に持ってたものを放り投げて、男性を受け止めようと駆け寄る。
自分の後ろでガシャンと割れる音を聞きながら、倒れ込んできた男性にの下敷きになってカオルもぐしゃっと潰れた。
「いったぁ~~い!!」
「あああ・・!ごめんよ、お嬢さん!;」
慌てて立ち上がったちょっと小太りの初老の男性は、心配そうにカオルに話しかける。
「助かったよ・・・!ケガは無いかい?」
幸いと腰をしたたか打ち付けただけ。
ちょっと痛むが大したことない。
「ケガは・・ない・けど!
あーーーー!!」
アスファルトに投げ捨てた紙袋を見て、カオルは急いで中身を確認した。
中の四角い包装紙から水が漏れて、紙袋もびしょびしょになっていくのを見て、心の底から冷えた気がする。
「・・・割れちゃった・・・!」
ショックのあまりその場に座り込む。
もう・・・なんでいつもこうなっちゃうの・・・。
自分の不運を嘆いて、カオルは泣き出しそうになった。
「あ、あの~;お嬢さん?
大丈夫?」
後ろから話しかけるさっきのおじいさんに、八つ当たりしたい気持ちも湧いてくる。
「大丈夫じゃないわよ~!
ていうか、さっき何してたの!?
どう見ても不法侵入してるようにしか見えなかったわよ!」
おじいさんの格好をよくよく見ると、サイズの合ってないよれよれの黒のビニールコート。
まるっとしたお腹はズボンから少しはみ出している。
極めつけは、もう何年のヒゲは剃ってないし、髪も伸び放題という感じの風貌!
年老いて灰色をした豊かな口ヒゲを揺らしておじいさんは笑う。
「ほっほっほ!
おじさんはサンタクロースだよ!」
「嘘つきなさいよ!!
どう見てもホームレスじゃないの!」
どっかで見た!
と記憶を呼び起こしていると、ハロウィンの夜商店街で見かけたあのホームレスじゃないのよ!
「どうしてくれるのよ!?
スノードームが割れちゃったじゃない!」
「スノードーム?
ああ・・・クリスマスプレゼントには打って付けだね。
だけど最近の子供はスノードームじゃ喜ばないよ?」
にこにこしながら言ってのけるおじいさんに、カオルの怒りはヒートアップしていく。
「子持ちに見えるわけ!?
彼にプレゼントしようとしてたの!
ていうか大きなお世話!」
「もー!そんなことより、この家に勝手に入ろうとしたでしょ!?
警察呼ぶからね!」
「いやいや、お嬢さん。
さっきワシを助けてくれたじゃないか?
哀れな老人をもっと助けると思って・・・。」
「助けてもらいたいのは私のほうよ!」
ガウガウと噛みつくように怒鳴るけれど、おじいさんには全く反省の色が見えない。
「ワシは二戸慎太という者だ。
お嬢さん、名前は?」
「個人情報だから教えられません!!」
「ううっ!その冷たい対応・・・!
別れた女房そっくりだ。」
「聞いておくれよ、お嬢さん~。
ワシはこう見えても、昔は立派な人間だったんだよ~。
しかしなぁ、世の中どんどん変わってしまって。
高度経済成長があったかと思えば、リーマンショックだのとな。
今の世は物が溢れておるのに、心は貧しくなった。
ワシは一体何のために・・・と思うとやりきれなくってなぁ~。」
「どうしていいかわからなくなって・・・・
寂しさからつい魔が差した・・。」
それで泥棒しようと?
「誓ってもう二度と馬鹿なことは考えんよ!
その代わり~・・そのぉ~・・・お嬢さんにお願いが~・・・。」
「お金なんて貸せないわよ。」
「いや!そんなものはいらん!
お嬢さんにぜひ、一緒に探してもらいたいものがあるんだよ。」
「はい!?」
なんで通報しないばかりか、探し物に付き合ってあげなきゃいけないの!?
「頼むよ。
老い先短い老人の最後の頼みだと思って聞いてくれ。
遺恨を残したまま、去りたくはない。」
どこか真剣な眼差しにカオルは断れないでいた。
瞳の奥に隠れたおじいさんの本音。
それがなんなのかまだ分からないけれど、なぜだかほっとけなかった。
「・・・もう、分かったわよ。
イブに出会ったのも何かの縁だしね。
探し物、手伝ってあげる。」
「ありがとう、優しいお嬢さん。」
―――・・・
「鋼牙様、先ほどカオル様からお電話がありまして・・・。
今日は帰りが遅くなる、と。」
「そうか・・・。
?どうかしたのか?」
「何か・・・トラブルに巻き込まれているのではないかと、心配に・・・。」
「カオルが何か言ってたのか?」
「ええ、・・・その。
鋼牙様には心配をかけるから言わないで、と言われましたが・・・。
ホームレスの男性の探し物に付き合うから、と。」
「ホームレス?
一体どういう・・・。」
「わたくしも気になって・・・。」
「分かった。
オブジェを周るついでだ。
カオルがいないか、気にかけておく。
心配するな、ゴンザ。
お前もそろそろ出掛けないといけないだろう?」
「えぇ・・すみませんが、鋼牙様。
よろしくお願いします。」
「ああ。
零によろしく。」
「はい。畏まりました。」
・・・しかしホームレスって・・;
カオル、また妙なことに首を突っ込んでるな・・・。
《今日は大事な日なのにな、鋼牙。》
「おしゃべりなお前がよく今日までカオルに黙ってた、と褒めてやりたいがもう少し黙っていろ。」
コートの内ポケットに入れた小包。
今日カオルに渡そうと用意していたものだ。
我ながら分かりやすいプレゼントだし、どういう意味合いで渡すんだ、と自問自答し続けた1週間。
たどり着いた結論と言えば、『カオルに似合いそうだから』とかひどく安直なものだ。
だが、本当にそう思ったのだから仕方ない。
今夜こそは・・・カオルに・・・・。
決意を込めてぐっと口元を引き締めると、俺は陰我を放つオブジェを目指して駆けた。
早く仕事を終わらせてカオルを探そう。
早く、・・・カオルに会いたい。
―――・・・
「もう!結局何を探してるのかさっぱり分かんないんだけど!」
「そうケンケン言わないでおくれよ~~。」
「こっちはね!プレゼントが壊れて、クリスマスが台無しで今にも泣きだしそうなのよ!」
ホームレスのおじいさんの探し物は訳が分かんないし、寒空の下あちこち歩き回ってつま先が痛い。
何より、この老人。
失くしたものを探す気があるのか。
お菓子屋さんの前で必ずと言っていいほど立ち止まるし、おもちゃ屋さんの中に入ったり、公園のツリーを眺めたり・・・。
寄り道ばっかりなのだ。
いい加減付き合うのも疲れてきたし、私にとって大切な鋼牙へのプレゼントは壊れたまま。
心を込めて造ったものだったのに・・・。
一旦口に出してしまうと、辛さが前に出て悲しみがこみ上げてきた。
なんで私っていつもこうなんだろう・・・。
ぐすっと鼻をすすって、滲む涙を袖で拭う。
「・・・ごめんよ、お嬢さん。
大切な贈り物、壊してしまった。」
「あれは・・・私とってすごく大事な贈り物だったの。
一番大切な人に、一番大切な約束をした・・・その証だったの。」
「それはどんな約束?」
「ずっと一緒にいる、って・・・。」
「彼も同じ気持ちだよ、きっと。」
「言うけど!!」
「・・・みんな、そう言うけど・・・。」
紙袋の中の未来は、割れてしまった。
まるで私達の未来を暗示してるみたいに。
―「カオル!」
雑踏の中で名前を呼ばれた。
鋼牙の声・・・!
・・・やだ。
今は会いたくない。
まっすぐ鋼牙の目を見ることが出来ない。
「おじさん!走ろう!」
「へ!?」
私はおじさんの腕を掴むと、呼び声と逆方向に走り出した。
「カオル!?」
鋼牙の驚いた声を背中で受け止めながら、涙で前がゆがんだ。
後編へつづく・・・
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