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Posted by 一二三 - 2011.09.25,Sun
はい!皆様今日もお疲れ様!

一二三です!おはこんばんちわ☆


さてさて、今回は説明が長いので出来るだけ簡潔にやっていきます。

去る7/3 にUPした、とある「始まり」のいよいよ「終わり」をUPしていきます!
もう相当、長いスパンでやってきた今回の長編ですが、この『Gott ist tot,Gott bleibt tot.』でやっと完結を迎えます。

「長いよ!;付き合いきれない!」というあなたの言葉、耳に届いてきますよ~~!!w笑

うん、それは仕方ない、と一二三も思っています!!(爆)
ごめんなさい!!

一応分かり易く?改めて振り返ってみます。
※ ■ クリックで項目ページに飛べます


1. 『密かな決意』 
 ~この間に、『星合』、『進行性限界恋愛症候群』、『彼女の答え』

2. 『The crooked house Ⅰ・Ⅱ』 
 ~『Happiness』はこの直後の話

3. 『Can’t Fight This Feeling』 

4. 『Gott ist tot,Gott bleibt tot.  Ⅰ・~~~(随時UP)』

大きな流れはこんな感じです。
コレを全て読み、そして今回UPの話を読んだあなたは、気付いたことでしょう。

鋼牙とカオルがぶち当たっている壁の正体を。

それはどんどん厚く大きくなっていきます。
壁の全貌と、そして2人がどうやって乗り越えるのか、一緒にご覧いただければ幸いです。


つづきクリックで 小説 『Gott ist tot,Gott bleibt tot. Ⅰ』へどうぞ。


  
「・・・・あと少しだ・・・。
 今、やっている方法が成功すれば・・・。
 きっとお前の病気を治してみせるよ。」
 
父親は優しく娘の頭を撫でた。
 
娘が“筋ジストロフィー”という難病に冒されたのは2年前。
現代医学では対症療法で延命するしかない病気だ。
 
 
「お父さん・・・。」
 
「もう・・・時間がないんだ。」
 
娘の命の期限がもう長くないことを、父親は知っていた。
やがて内臓筋にまで萎縮が進めば、娘は自発呼吸することもままならなくなる。
 
残された時間は少ない。
 
「でも、・・・。」
 
娘は不安げに呟いた。
 
「大丈夫、誰にも邪魔はさせないよ。
 信じて待っていなさい。」
 
微笑み、言い聞かせる父親を娘には止めることができなかった。
 
 
どこにも行かないで。
そばにいて。
病気なんて治らなくてもいい。
 
 
本当に言いたかったことは、最後まで告げられることはなく・・・・。
 
 
「・・・いってらっしゃい。」
 
 
彷徨う言葉と、あてどなく差し出された腕を拾う者など、
 
誰も居はしない。
 
 
 
 
 
 
Gott ist tot, Gott bleibt tot.  Ⅰ.
 
 
 
 
 
 
「わざわざ来ていただいて・・・助かります、御月さん!」
 
「いえ、いいんです!」
 
私は今日、父が壁画を描いた幼稚園を再び訪れていた。
 
あの壁画の修復から数年経ったなんて思えないくらい、この場所は変わらない。
 
子供達の笑い声、そして暖かな日の光に満ちている。
 
父の壁画があるためなのか、私にとってこの幼稚園はとても懐かしい・・故郷のような感覚がする場所だった。
 
 
「せっかくの大切な絵に園児が落書きをしてしまって・・・。
 本当に申し訳ありません!」
 
壁画のある場所につくと、園長先生は深々と頭を下げた。
 
「ああ・・;気にしないで下さい!」
 
そんなに気にしなくてもいいのに。
子供がやることなんだから。
 
「上から描きなおせばいいだけですし、それにホラ!こんな隅っこに小さく描いている落書きなら簡単に消せますよ!」
 
 
電話で“落書きを消して欲しい”と言われたときは、どんなにか酷い状態かと思ったけれど、見てみれば女神の服の裾辺りにクレヨンでちょっとした絵が描いているだけだ。
 
これなら拭けばすぐにとれるだろう。
 
 
「・・・本当に、すみません。」
 
園長先生は私よりずっと消沈した様子でもう一度頭を下げた。
 
不謹慎かもしれないけど、私嬉しいな。
そんな風に、この壁画を大事に思ってくれているなんて。
 
お父さんもきっと天国で喜んでるよね!
 
園長先生に元気を取り戻してもらうためにも、ちゃっちゃときれいにしてあげよう♪
 
 
「御月さん、私はお邪魔でしょうから園長室のほうにいますね。
 何かあればいつでも御用をおっしゃってください。」
 
「はい!ありがとうございます!」
 
 
園長先生がいなくなり、私はもう一度壁画の落書きと向き合う。
 
さっきは気が付かなかったけど、それは良く見ると“赤い車椅子”・・・のようだった。
 
なんだろう・・・。
子供が描くモチーフとしてはあまりにも不自然な感じがする。
 
その時後ろに気配を感じて、はっと振り向いた。
 
そこにはこちらを覗く男の子の姿が・・・・。
 
男の子はどこか怯えた様子でじっと床を見つめている。
 
どうかしたのかな?
 
「どうしたの?
 皆、お外で遊んでるよ?」
 
 
「・・・・。」
 
男の子は一言も発さないまま、後ろに隠していた絵本を差し出した。
 
これ・・・!
 
 
それは父が描いた絵本『黒い炎と黄金の風』。
 
2冊を除いて、再びこの幼稚園に寄付したけれど・・・読んでくれてるんだ!
 
なんだか嬉しい気分になって、笑顔で男の子から受け取る。
 
「これ好きなの?
 お姉ちゃんも大好き!」
 
ところが男の子は沈んだ表情のまま、私に絵本を手渡すと廊下を駆けていった。
 
「あ!待って!」
 
 
まるで風みたいに駆けていき、姿を見失ってしまう。
 
一体、どうしたんだろう・・・。
 
あの子の様子に疑問を感じつつも、私は作業に戻ることにした。
 
 
――・・・・
 
 
「園長先生!落書き、綺麗に消えましたよ!」
 
「ありがとうございます!御月さん!」
 
ものの10分ほどで終わった作業に、園長先生はほっとした表情をみせる。
 
それから、とりとめもない会話をしながら幼稚園の出入り口まで見送ってくれた。
 
「あの壁画、先代が相当気に入ってましてね!
 綺麗になったと教えれば、きっともの凄く喜びますよ!」
 
「そうなんですか、良かったです。」
 
 
ふと、グラウンドに目をやるとさっきの男の子が、友達の輪に入ることもなく一人、丸太の机に座っているのがみえた。
 
「あ・・・あの子!」
 
「ああ・・・卓くんですよ。
 実は・・・あの壁画に落書きしたのはあの子なんです。」
 
お恥ずかしいですが・・・、と園長先生は言葉を濁す。
 
「えっ!?そうなんですか!」
 
「あ、でも!いつもはあんなことする子じゃないんですよ。
 ここ最近・・・すっかり元気を失ってしまって・・・。
 みんなと遊ぶこともなく、ほら・・・ああやってずっと画用紙に絵を描いているんです。
 話しかけても答えてくれなくて・・・。
 ご家庭で不幸があったらしいんですが・・・、親御さんに聞くにも聞きづらいですし。
 何とかしてあげたいんですけどね。」
 
その時、改めて私は分かった。
 
壁画への落書きのことで、胸を痛めていた園長先生だけれど・・・卓くんのことをすごく心配していたからこそ、あんなにも消沈していたのだろう。
 
「あの、・・・よかったら少し話をしてもいいですか?」
 
 
「ええ!ぜひ、お願いします。」
 
 
私はそっと卓くんに近寄った。
 
―――・・・
 
 
卓くんはクレヨンを握り締めて、画用紙に絵を描き続けている。
 
私がそばによってもまるで反応がない。
 
 
「卓くん、絵を描くの好きなんだね!
 ねえ、さっきこの絵本を手渡してくれたよね?
 どうしてかな?」
 
それでも卓くんは私を見ることもなかった。
 
うーん・・・、園長先生は“不幸があった”って言っていたけれど、それで落ち込んでいるのかな・・・。
 
なんとか元気付けたいけど、どういえばいいんだろう。
 
 
「卓くん・・・、お姉ちゃんもね、大切なお父さんとお母さん・・・卓くんくらいの時に亡くしちゃったの。
 辛いなら・・・・一人で抱えてちゃダメだよ?」
 
 
卓くんのクレヨンがようやく止まる。
 
私・・・余計なこと言っちゃったかな・・・・。
 
卓くんは『黒い炎と黄金の風』の絵本を取ると、私に向けて開いた。
 
そこに描かれている黄金の騎士を指差して、必死に何かを訴えようとする。
 
「!・・・!!う・・・!」
 
 
「なに?どうしたの?」
 
泣き出しそうになった卓くんを見て、私は必死に助けたいと思うけれど・・・何を伝えたいのか分からない。
 
「卓くん、黄金騎士がどうかしたの?」
 
―「卓!」
 
その時、女性の声が卓くんを呼んだ。
 
でもその声音は優しいものじゃなくて、まるで「やめなさい!」って言ってるみたいな・・・。
 
 
「ちょっと、あなたウチの子に何してるの!」
 
女性は卓くんをぎゅっと抱きしめて、私をまるで敵を見るような目で見た。
 
困惑する私に、園長先生が助けに入る。
 
「ああ、すみません!卓くんのお母さん。
 私が彼女に話し相手になってくれるよう頼んだんです!」
 
「部外者が余計なことしないで!
 卓は今すごく不安定なの!
 園長先生、今日はもう連れて帰ります!失礼しますわ!」
 
 
卓くんを抱えると怒りを顕にして幼稚園の門から出て行ってしまった。
 
 
「ごめんなさい・・・私、そんなつもりじゃ・・・。」
 
「御月さん、すみません・・・。」
 
 
卓くんが残していった画用紙と絵本を抱いて、私は後味の悪さを感じながらも幼稚園を後にした。
 
 
 
―――・・・・
 
 
「ただいまーー・・・。」
 
 
「 ? おかえりなさいませ、カオル様。
 どうかなさいましたか?」
 
 
元気をなくした様子に気がついたゴンザさんが、気遣わしげに眉を下げる。
 
ゴンザさんの優しい顔を見ると不思議と緊張がとれるような気がした。
私にもそんな力があったら卓くんを元気に出来たのかな・・・。
 
「うん・・・実はね・・・。」
 
 
ダイニングの長机に腰掛けて、私は幼稚園であったことをゴンザさんに話す。
 
ゴンザさんは相槌を打ちながら、ジャスミンティーを淹れてくれた。
 
 
一通り話し終えると、ゴンザさんは深いため息をつく。
 
「・・・その卓くんという少年・・・、痛ましいですな。
 お身内に不幸があれば、元気をなくすものではありますが・・・・聞く御様子では、とても近しい方を亡くしたのではないでしょうか?」
 
「うん、そうだと思う。
 お母さんもなんだか神経質になってたし・・・。
 どうすれば、元気になれると思う?」
 
 
「・・・難しいですな。
 悲しみは時が癒す、とも言いますし・・・すぐには無理かと。」
 
「でも、あの子ずっと喋らないままだったら?」
 
 
「・・・・・。」
 
ゴンザさんは考え込むように、目線を下に向けた。
 
それに倣って私も机に目をやると、持ち帰ってきた絵本と卓くんが描いた絵が目に映る。
 
そういえば・・・・、卓くん黄金騎士を指差してた。
 
あの時、何を伝えたかったんだろう。
 
 
私はまた絵本をめくった。
 
黄金色の鎧を纏った騎士が、おぞましい怪物たちを倒していく英雄譚。
何度も読んだ物語。
最後のページは白紙の絵本。
 
卓くんなら・・・そこに何を描きこむんだろう。
 
 
最後のページをめくると、やっぱりそこには卓くんの絵が描かれていた。
 
 
鐘塔のような建物、と・・・・赤い車椅子。
 
「・・・え・・・また赤い車椅子・・・。」
 
「カオル様?」
 
 
私・・・これ見たことがある。
それにこの建物・・・。
どこだったっけ・・・?
 
思い出さなきゃ・・・思い出さなきゃ!
 
卓くんは、あの時必死に何かを伝えようとしてた。
ううん、それだけじゃない。
 
まるで助けを求めているような・・・・。
 
 
 
―――・・・
 
 
 
「・・・卓、お兄ちゃんのことは誰にも話しちゃだめよ。」
 
「・・・・。」
 
小さな男の子は母親に手を引かれながら、帰りたくない家路についていた。
 
「川で死んだお兄ちゃんが帰ってきて、卓も嬉しいでしょ?
 お兄ちゃんね、すぐお腹すいたーって言うのよ。
 もっと血がいるわ・・・。
 お母さんのだけじゃダメ。」
 
明るい母親の声音が、少年には恐ろしくてたまらなかった。
 
お兄ちゃんは帰ってきたのに、一緒に川で死んだお父さんは、なんで帰ってこなかったの?
お兄ちゃんは何で血しか飲まないの?
お兄ちゃんがお母さんの腕に噛み付いているの見たよ・・。
血を吸っているのを見たよ。
 
あんなのお兄ちゃんじゃない・・・。
 
 
言うのが怖くて、少年はひとつひとつ言葉を消していった。
 
言えば、お兄ちゃんにひどい目に合わされる。
 
絵本の“おうごんきし”が現れて、やっつけてくれたらいいのに。
そして、本物のお兄ちゃんを取り返してくれたらいいのに。
 
たすけて、おうごんきし。
 
ママも怖い、お兄ちゃんはもっと怖い・・・。
 

少年は今日も怖いものを描く。
心の内から追い出したくて。
 
家に帰ったら、今日も“赤い車椅子”を描こう。
 
どうせ誰も助けてくれない。
 
無駄だと分かっていても、絵本の“おうごんきし”を指差す。
 
たすけて、と。
 
 
 
 
―――・・・
 
 
日没も迫った人通りの多い駅前を、白いコートが駆け抜ける。
 
路地に入り、人目を気にしながら青年は左の指輪に話しかけた。
 
「ザルバ、最近行方不明事件が多発している地域だ。
 どうだ、ホラーの気配は感じないか?」
 
《・・・鋼牙、もういい加減帰ろうぜ。
 何度も言ったが、どこにもホラーの気配は感じない。
 例の事件が気にかかっているんだろうが、札を仕掛けたヤツを探すなんて雲を掴むような話だ。
 手がかりが無いんだぞ?》
 
今日は3つの地区を走り回ったが、陰我を放つオブジェを浄化しただけで、何も手がかりとなるものを見つけられなかった。
 
 
「・・・・。
・・・邪美からの連絡もない。」
 
《ほら、な。
 出どころを探るのは容易じゃない。
 それこそ、あの家で見つけた札を番犬所に突きつけてやったらどうだ?》
 
「・・・揉み消されるに決まってる。
 邪美や閑岱から連絡が無いのはおそらく緘口令が敷かれているからだ。」
 
《万策尽きたな・・・。》
 
 
「とにかくしらみつぶしに探すしか方法はない。」
 
《・・・・しょうがないヤツだ・・。
 このザルバ様に任せな。
 まぁ、今日のところは戻ろう。
 指令書が来てるかもしれないぞ?》
 
 
「・・・・ああ・・。」
 
青年は沈む夕日をにらみつけた。
 
一日が終わるのは早い。
 
こんな無駄足をしている間に、土井親子のような犠牲者が出ているのではないかと思うと、青年の拳には力が入った。
 
敵の正体も目的すら掴めない自分が、ひたすらに腹立たしい。
 
今日も新聞の記事で「二人行方不明」と出た。
 
関係ないかもしれない。だがあったら?
 

二人も行方不明だぞ。
どういう仕事してるんだ!ガロ・・・!
 
 
「・・・・くそ・・・!」
 
 
 
一見、静寂で暴力もない街。
 
だが耳を澄ませば、
 
確かにはっきりと叫びが聞こえた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
To be continued・・・
Ⅱ.へ → 

 
 フラグを立て続けてきたw長編にそろそろ終わりをつけようと思います。
『Gott ist tot, Gott bleibt tot』でこの長いシリーズも終着ですよ~~。
長かった(;´д`)
鋼カオ要素はいまだ少ないですがwカオルがね、すごいことになるのでね、楽しみにしててほしいです(企)へっへっへw←怪しい笑い
 
鋼牙とカオルが、新たな障害を乗り越えていけるよう!応援よろしくお願いしますね゚+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚.:。+゚

拍手[23回]

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Comments
なな様、応援感謝です!
ういっす☆頑張ります!
ラストまで宜しくお付き合いくださいませv
Posted by 一二三(管理人)です - 2011.10.18,Tue 22:40:30 / Edit
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